すいかのプール / 5865(岩波書店)さっく さっく しゃぽん!  楽しさあふれる韓国の絵本 アンニョン・タル 作 斎藤 真理子 訳 すいかのプール|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2018年9月4日 / 新聞掲載日:2018年8月31日(第3254号)

さっく さっく しゃぽん! 
楽しさあふれる韓国の絵本
アンニョン・タル 作 斎藤 真理子 訳 すいかのプール

すいかのプール
著 者:アンニョン・タル
翻訳者:斎藤 真理子
出版社:岩波書店
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昔むかし、東海林さだおさんが「すいかの大吟醸」について書いていたのを読んだ。つまり、お米を磨いてお酒を作るようにすいかの皮を外からむいていき、真っ赤なところだけにしてかぶりつくというのだ。そうやって食べたすいかは、とてもとても美味しかったそうである。

すごい、やってみたい。でもこの食べ方だと、すいかを食べるときの大きな楽しみ、「ジュースがたまる」というのが味わえないなあとも思った。スプーンで果肉を突き崩し、食べていくうちにくぼみにジュースがたまる。そこを狙って「深掘り」したり、たまったジュースを「満を持して」スプーンですくう喜び。

韓国の絵本『すいかのプール』にはその楽しさがあふれている。半分にぱかーんと割ったすいかにみんなで飛び込んで、「さっく さっく」と踏んで遊べば、いつのまにかジュースがいっぱいにたまる。そこに浮き輪で浮かんでぷかぷかという、とても楽しい展開だ。
(画像は本書から)


この本の見本ができてきて、喫茶店で友人に見せたときのこと。隣の席に1歳ちょっとぐらいの赤ちゃんと両親がいた。絵本を広げて真っ赤なすいかの断面が見えたとたん、赤ちゃんがぐーんと体を乗り出し、「あー! あー!」と手を伸ばして両親に知らせていた。「食いつく」という言葉がぴったりのそのしぐさに、思わず笑ってしまった。

すいかの原産地は南アフリカ。本来は砂漠の植物である。すいかがこんなに丸いのは、スコールのときに大地を転がり、やがて割れるように設計されているからだ。そして果肉が赤いのは、色に惹きつけられた鳥たちが種を遠くまで運んでくれるためだと、子どものころに本で読んだ。やっぱりこの赤い色に、生きものは強く惹きつけられるのだなあ。

もうすいかのシーズンは終わりかけているが、絵本のラストは「だいじょうぶ。来年もまたすいかのプールはひらきますから」と締めくくられている。すいかは、韓国でも同じ漢字で「西瓜」。隣の国でも同じ季節に同じ果物を食べている。そのことが子どもたちに自然に伝わるといいと思う。

すいかのプールで遊んでいるのは子どもが中心だが、それだけではない。大人も高齢者も一緒。よく見ると、車椅子に乗ってくる子もいる。そんなところにも、韓国がこの間に模索してきた共生社会のあり方を見るような気がする。
この記事の中でご紹介した本
すいかのプール/岩波書店
すいかのプール
著 者:アンニョン・タル
翻訳者:斎藤 真理子
出版社:岩波書店
以下のオンライン書店でご購入できます
「すいかのプール」出版社のホームページはこちら
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