モンテイロとポルトガル映画 連 載 ジャン・ドゥーシェ氏に聞く71|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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ジャン・ドゥーシェ氏に聞く「映画/映画作家/映画批評」
更新日:2018年9月4日 / 新聞掲載日:2018年8月31日(第3254号)

モンテイロとポルトガル映画 連 載 ジャン・ドゥーシェ氏に聞く71

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ドゥーシェ(中央)とモンテイロ(その左)、『神の喜劇』より

HK 
 どのような経緯によって、ジョアン・セーザル・モンテイロの映画に出演することになったのですか。二度も出演されて(『神の喜劇』〔1995〕、『神の結婚』〔1999〕)、印象に残る役を与えられています。
JD 
 非常に簡単な話です。モンテイロは、私の批評を通じて、私のことを知っていたのです。そして、彼の目には、私に対する世間の認知が不十分に思えていたようです。私を作品の中で演じさせることは、彼なりの私に対する賛辞のようなものでした。ご存知かとは思いますが、その時代のポルトガルの映画業界とは、オリヴェイラとモンテイロを除けば、大したものではありませんでした。なので、彼らはパリに来て映画を作る必要があったのです。そういうわけで、オリヴェイラやモンテイロと知り合ったのです。
HK 
 『神の喜劇』の撮影前に、すでにモンテイロとは知り合っていたのですか。
JD 
 彼と知り合ったのは、撮影の時です。それ以前には、接点はありませんでした。この作品のために、彼が私を探しに来たのです。
HK 
 その間に入ったのはパウロ・ブランコ(ポルトガルのプロデューサー)だったのではないですか。
JD 
 確かに、私たちの間を取り持ったのは、パウロ・ブランコです。他にも、オリヴェイラをポルトガルで紹介されたり、色々な映画作家を紹介されました。
HK 
 オリヴェイラとは、90年代以前に知り合っていたのですか
JD 
 彼と知り合った時期に関しては、覚えていません。
HK 
 そんなものですよね。でも、パウロ・ブランコがドゥーシェさんの周りにいた映画監督に出資し始めたのが、80年頃からで、オリヴェイラやモンテイロの映画に強くフランス色が出てくるのが90年頃からなので、その頃だと思います。
JD 
 言われた通りだと思います。加えていうならば、パウロ・ブランコは、撮影のためにパリに住んでいました。その種の情報は、映画を通じて理解できるはずです。それほど難解なことではありません。
HK 
 ドゥーシェさんは、モンテイロの映画の中でよく演じていましたよね。
JD 
 うまく演じられたと思います(笑)。
HK 
 『神の喜劇』では、アイスの品評委員のような役を演じています。
JD 
 不味いアイスを食べさせられました。
HK 
 「あなたのアイスクリームは、ろくでもない」というセリフが記憶に残っています(笑)。
JD 
 それは私の考えた、受け答えです。撮影スタッフたちは、そのような返答を予期していなかったみたいでした。なので、私がそのようなセリフを口にした際には、撮影現場には笑いが起こっていました。笑っていなかったのはモンテイロだけです。
HK 
 モンテイロの映画には、イロニーやユーモアが作品の至るところに見られるはずです。例えば、いま話に上がった『神の喜劇』では、ドイツ国歌の1番が流れる箇所があります。ドゥーシェさんがフランスから来た招待客なので、本来は『ラ・マルセイエーズ』が流れるところで、ナチスドイツの時代の国歌を流します。他にも、ドゥーシェさんの演じたフランス人のお偉いさんの役名は、アントワーヌ・ドワネルだったと思います。
JD 
 モンテイロはイロニーが好きな人でしたが、それ以上に内面では暴力的な人でした。行儀の良さとは、程遠い人です。一方でオリヴェリラは、上辺だけ見れば、親切で行儀のいい人でした。
HK 
 それでも、オリヴェイラも、彼の映画を見ている限りでは、多くのユーモアがあり、暴力的な表現も多くあるように感じます。
JD 
 その通りです。オリヴェイラの映画も非常に暴力的なのです。実は、その見せかけと反対に、オリヴェイラはかなり攻撃的な人でした。それが理由で、多くの人から怖がられていました。撮影現場のオリヴェイラは、その場にいる人々を困らせていました。

<次号につづく>
(聞き手=久保宏樹/写真提供=シネマテーク・ブルゴーニュ)
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