田原総一朗の取材ノート「「重大かつ差し迫った脅威」とは?」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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田原総一朗の取材ノート
更新日:2018年9月11日 / 新聞掲載日:2018年9月7日(第3255号)

「重大かつ差し迫った脅威」とは?

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八月二八日、ほとんどの新聞が、二〇一八年版防衛白書を紹介して、「北朝鮮は、これまでにない重大かつ差し迫った脅威」だと強調した。だが、新聞各紙の報道に、私は強い違和感を抱かざるを得なかった。

去年は、アメリカのトランプ大統領が、北朝鮮の金正恩委員長を徹底的に敵視して、いまにも武力行使に踏み切りそうだった。もしもアメリカが北朝鮮に武力行使すれば、北朝鮮は韓国、日本に報復攻撃をする可能性が強い。そこで日本は危機感が充満していた。

安倍首相も、「国難」だと強調し、報復攻撃があったときに備えるための防衛体制をつくることを意識して総選挙を行なったのである。

だが、今年の六月一二日に、シンガポールで、トランプ・金正恩会談が行なわれた。アメリカの大統領が、北朝鮮の首脳と会談したのはこれがはじめてである。

そこで、期限こそ示さなかったが、金正恩委員長は、核廃棄を約束し、トランプ大統領は北朝鮮の安全を保障した。ようするに、事態は大きく変ったのである。

米朝が戦闘することは、まずないだろう。

にもかかわらず、防衛白書は、なぜ「北朝鮮の脅威は、これまでになく重大、かつ差し迫っている」などと強調しているのか。

それは、米国から高額で購入することになった地上配備型迎撃システム、イージス・アショアを正当化する狙いがあるのではないか。

イージス・アショアの価格は、当初は八〇〇億円とされていた。それが一三四〇億円に膨らんだ。

導入経費は三〇年間の維持・運営費をあわせて、二基で約四六六四億円。ミサイル発射装置や用地取得費を含めれば、さらに膨れ上がる。

当初から、トランプ大統領の高額の米国製武器を購入せよとの要求に応じる、対米追従の典型例だと見られていた。

しかし、事態が大きく変った。はっきりいって、いまやイージス・アショアの購入の必要はないのではないか。

そして、イージス・アショアの購入を正当化するために、北朝鮮の脅威を強調しているのではないか。
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