【横尾 忠則】原郷オデッセイの旅。西脇にデモーニッシュなモニュメント|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

日常の向こう側ぼくの内側
更新日:2018年9月11日 / 新聞掲載日:2018年9月7日(第3255号)

原郷オデッセイの旅。西脇にデモーニッシュなモニュメント

このエントリーをはてなブックマークに追加
2018.8.27
 昨夜は、昨日の物々しい大挙動員された警官と謎の連行女性の捕物シーンの妄想で不眠状態。この白日夢的幻視的な光景は、いずれ絵となって表象することがあるのかも知れない。
2018.8.28
 秋の西脇市岡之山美術館の個展制作のために妻、徳永の3人で西脇へ。着くなり墓参りに。先ず死者にご挨拶。人は郷里から出て郷里に戻る原郷オデッセイの旅。

高校の同級生男女10数名と茶話会を西脇ロイヤルホテルで。いつもそーだが必ず男女が分かれて別々に席を取るので両者の対話はなく、同性だけで固まる。この現象は高校時代の異性に対する羞恥心の距離感がまだ残っているのだろうか。実に不思議だが誰も不思議に思わないのが不思議だ。

西脇をアピールする観光資源も地場産業もないので、ぼくのモチーフの西脇を舞台にして展開していった「Y字路発祥の地第一号」なんてケッタイな名稱で、最初に描いたY字路一枚目の場所をモニュメンタルにしたいと言うので、中央の家全体を真黒に塗装することに決める。デモーニッシュなモニュメントになるに違いない。

夜は片山市長らとホテルで会食。
さくらももこさんからいただいたスケッチ
2018.8.29
 〈デパートの画材売場で物色していると見たことのある係の人と女性店員が来て、48年前の一柳慧作曲「オペラ横尾忠則を歌う」のカラーLPを今も重宝していると語る〉

〈アトリエに2人の建築関係のジャーナリストが来て制作中の絵をあれこれ批評する。ぼくが「エッセンス」という言葉を発すると、「エレンス」と訂正される〉

〈現在のわが家ではない別のわが家に土屋嘉男さんが遊びに来て、「銅像について書いているんだよ」と言う。歴史にも触れるの? と聞くと、「そう」と言って間もなく帰る。表で隣りの奥さんと「きれいな花ですね」と、人気商売の俳優なのに相変らず気さくに話す土屋さんは相変らずだなあと思う〉

西脇よりずっと山奥の杉原谷の杉原紙研究所へ、紙を漉きながらの作品制作に向うが、美術館側の段取りが悪く、制作のタイミングをはずされてしまった。相撲の立ち合いと同様、意識集中の糸が切れて、創作意欲が完全に喪失。こんな状態では思い通りの作品ができない。向いの青玉神社にお参りして、神様に「今日はできません」と報告して、タクシーでホテルに戻る。その後、学芸課長の山崎さんと今後のスケジュール調整をするが、再制作をするかどうかは未定のまま、明日帰京することにする。夢のような現実の話。

さくらももこさん逝去。彼女は本名を非公開にしている。子供の学校では「ちびまる子ちゃん」が大人気、さくらももこも超有名人。そして子供には自分がさくらももこであることを隠している。だけど最近はどうも子供が勘づいているような気がするので、私がさくらももこでないというビデオを作って、子供に見せたいのでそのビデオの演出をして欲しいと頼まれるが、おかし過ぎる話なので笑って断わる。展覧会場で彼女に挨拶でもすると大変で、挨拶できない。
2018.8.30
 西脇の道の駅で買い物をして帰りたいという妻。すでにここに立ち寄るという情報が伝わっていて、前市長の来住壽一さんが今朝の神戸新聞のぼくの記事を持って待機してくれていた。退職後ボランティア活動の先頭に立って、「忙しくて、面白くて」と現役時代より活気がある。

11時30分、新大阪から帰京。
2018.8.31
 〈ドナルド・リチーさんが飛行機の窓からふと外を見ると、乗っている飛行機とピッタリくっつくよーに飛んでいるUFOがいてその窓から宇宙人の搭乗者のクローズアップした目を見たと、その時のビジョンをぼくの頭の中に転送して見せてくれる。人間の眼と変らない目だった〉

午前中、神戸から平林さん、山本さん別の用で来訪。

午後から「文藝」の〈アトリエ会議〉を保坂和志さん、磯﨑憲一郎さんと。日々刻々難聴がひどくなっていて鼎談にならず、保坂さんと磯﨑さんの第三者同士の会話になると全く認識できず。話題の内容が把握できないので会話に加われなくなってきている。
2018.9.1
 午前中、アルプスでココア。

午後、タマの絵を描く。
2018.9.2
 〈広い建物の中。美術関係者が集う場で公開制作。自信を持って描かなければならない。天使が羽を広げた大きい絵を描く。自信を持って描く。「国際級のドローイングだ」と賛美の声が耳に入ると調子に乗る〉公開制作夢。

〈大劇場で外国人の女性ダンサーとデュエットで踊る。もうひとり日本の女性も広い舞台いっぱいに絵を描くように踊る。踊り終った相手の女性は、気持が高揚したのか、衣装を払って下半身を広げて、色気を発散させる。もうひとり興貴都とかいう宝塚スターも、放心状態であらわな姿態を見せている〉舞踏夢。

セゾン現代美術館の館長を退任した難波英夫さん久し振りに来訪。デュシャン、ピカソ、キリコの時代に自分を位置づけて描いている。それも生理と気分を最優先に、そんな話を難波さんとする。
このエントリーをはてなブックマークに追加
横尾 忠則 氏の関連記事
日常の向こう側ぼくの内側のその他の記事
日常の向こう側ぼくの内側をもっと見る >
芸術・娯楽 > 美術 > 現代美術関連記事
現代美術の関連記事をもっと見る >