有職装束大全 / 八條 忠基 (平凡社)有職装束――日本の伝統、感性と美意識の再認識 有職装束大全|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2018年9月11日 / 新聞掲載日:2018年9月7日(第3255号)

有職装束――日本の伝統、感性と美意識の再認識
有職装束大全

有職装束大全
著 者:八條 忠基
出版社:平凡社
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有職装束大全(八條 忠基 )平凡社
有職装束大全
八條 忠基
平凡社
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いま、日本の伝統文化を紹介する書籍や雑誌、テレビ番組が花盛り。しかしその流れの中でも、「有職装束」に関する知識を一般向けに紹介する媒体は、ほぼ皆無です。

「有職装束」とは、衣冠・束帯や、いわゆる十二単などに代表される、宮廷や公家社会で着用されてきた衣類のこと。世界中どこの国にも伝統の民族衣装はありますが、約千年も前からの形式を、ほぼ保ったまま現代まで受け継がれている日本の有職装束は、非常に希有な存在と言えるでしょう。

以前、海外各国の留学生に、有職装束を着て楽しんでもらうイベントを開催したことがあります。『源氏物語』研究のためにフランスから東京大学に留学している女性が、イベント終了後に語った言葉が忘れられません。「日本的な……茶道・華道、囲碁・将棋、柔道・剣道、そして着物。みんなフランスにもあります。でも今日、はじめて日本に来なければできない体験ができました!」と。そして留学生たちを引率してきた帰国子女の大学生は「日本人なのに、こんなにも素晴らしい自国のファッション文化を何も知らなかったことが恥ずかしい」としみじみ語ったのです。日本人自身が有職装束の知識を持っていないのは、本当にもったいないことだと思います。真の国際人は、自国の文化に精通しているものです。
この本は、そうした知る人の少ない有職装束を、より多くの人々に、より詳しく紹介したい、という思いから生まれました。神社の神職や巫女さんの姿、全国各地で増加中の時代行列イベントなどでも、見学者を華やかに魅了してくれるのがその装束。着用されている装束の知識があれば、より深く見ることができ、その背景となる歴史を味わえることでしょう。

有職装束が古い歴史を持つということは、それだけの期間、美的洗練がなされてきたことでもあります。装束の美しさは、色彩の豊かさが理由の一つでもありますが、この本では伝統の色彩や文様などについても詳しく解説しました。四季折々の自然との一体感を大切にしたそれは、私たち日本人のDNAに連綿と受け継がれている、感性と美意識を再認識させてくれることでしょう。

来年、新天皇の即位や大嘗祭など、世界中に人たちに有職装束を見ていただく絶好の機会が参ります。その知識を必要十分に得ることの出来る本に仕上がったと思います。御慶事に登場する有職装束をじっくりと拝見し、日本の伝統文化の深さ・美しさを実感していただければと、心から願っています。
この記事の中でご紹介した本
有職装束大全/平凡社
有職装束大全
著 者:八條 忠基
出版社:平凡社
以下のオンライン書店でご購入できます
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