第52回 谷崎潤一郎賞  第11回 中央公論文芸賞 贈呈式開催|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

受賞
更新日:2016年10月28日 / 新聞掲載日:2016年10月28日(第3162号)

第52回 谷崎潤一郎賞  第11回 中央公論文芸賞 贈呈式開催

このエントリーをはてなブックマークに追加
左より、長嶋有氏、絲山秋子氏、東山彰良氏

10月11日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで第52回谷崎潤一郎賞と第11回中央公論文芸賞の贈呈式が開催され、谷崎賞の絲山秋子氏『薄情』(新潮社)と長嶋有氏『三の隣は五号室』(中央公論新社)、中公文芸賞の東山彰良氏『罪の終わり』(新潮社)にそれぞれ賞が贈られた。

薄情(絲山秋子)新潮社
薄情
絲山秋子
新潮社
  • オンライン書店で買う
受賞者の挨拶で絲山氏は「仏教説話に、地獄にはご馳走が山のようにあってもお箸が非常に長いので、目の前のご馳走を自分の口の中に運ぶことが出来ないが、極楽ではやはり長い箸でも向かいの人の口にご馳走を入れてあげるのでいつもお腹がいっぱいだという話があります。
この小説を書くなかで、私はいろんな方からたくさんのことを教えていただきました。今も住むところに移住して来て地元の方から本当に親切にしていただいて仲間に入れていただきました。それは長いお箸でご馳走をいただいたようなものと思います。私もそうして受け止めたことを長いお箸でご馳走を差し上げるようにきちんと小説を書いていかなければいけないと思います。そういった意味でもこの谷崎賞で努力を怠ることなくきちっとした料理を作るのだという思いを強くした気がします。また日本文学は平安時代から素晴らしい作品がたくさんあり、昔の人から今の時代のぽかんとアイた私の口の中に美味しい文学というご馳走をいただいて、そのおかげで書く力を得ているのだと歳を取ってきてからだんだんと感じるようになりました。私も自分が持つお箸の先で美味しい文学の部分が三十年後、五十年後の方に繋いでいきたいと思いもいたしました。今日は本当にありがとうございました」と喜びと感謝を述べた。

長嶋氏は「小説を書くかたわらくだらないことをしてみたり、別名でコラムを書いたりしていますが、それは小説が立派なかしこまったものだと思っている人に、そういうものじゃないよと反発するような自意識でそうしていた面もありますが、僕は自身は俗なままでも自分が書いた小説は僕よりも頭がいいと思っています。というよりもどんな作家でもその人が書いた小説のほうが頭がいいと思っています。今回の受賞も僕のくだらなさと僕の書いたものの何かが同時に肯定されたのだと思い、この素晴らしい賞を自意識を発揮せずに嬉しく受け取ろうと思います」と話した。





罪の終わり(東山 彰良)新潮社
罪の終わり
東山 彰良
新潮社
  • オンライン書店で買う
東山氏は「インタビューなどでこの作品のテーマをよく質問されましたが、あまり考えもせず価値観の相対化がテーマだと馬鹿の一つ覚えみたいに繰り返しておりました。実は作品を書いているときには僕はあまりテーマというものを考えず、本能のおもむくまま書いているのですが、いろいろな方の質問に答えるつれづれに、自分が書きたかったのはこの価値観の相対化なのだということにあらためて気付かされました。作家になって十三年経ちますが、今回の作品で初めてこれから先しばらく付き合っていけるテーマを発見することが出来ました。もしかするとこのテーマは先人たちがとっくの昔に手に入れていて、僕が今立っているこの場所は先人たちがすでに通り過ぎたあとなのかもしれません。そうだとすれば僕は『罪の終わり』を書いてようやく作家としてのスタート地点に立てたのではないか。そのような作品が皆さんの承認を得て評価されたことをとても心強く嬉しく思っています」と語った。
この記事の中でご紹介した本
三の隣は五号室/中央公論新社
三の隣は五号室
著 者:長嶋 有
出版社:中央公論新社
以下のオンライン書店でご購入できます
薄情/新潮社
薄情
著 者:絲山秋子
出版社:新潮社
以下のオンライン書店でご購入できます
罪の終わり/新潮社
罪の終わり
著 者:東山 彰良
出版社:新潮社
以下のオンライン書店でご購入できます
このエントリーをはてなブックマークに追加
受賞のその他の記事
受賞をもっと見る >