気を許すと涙が零れそうに|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2018年9月21日 / 新聞掲載日:2018年9月21日(第3257号)

気を許すと涙が零れそうに

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梯さんの『原民喜』は、読んでいる間中、どうしてだかずっと、気を許すと涙が零れそうになりました。小説などを読んで泣くときに、その感情には割と明確に理由づけできることがある気がします。登場人物のある行動だとか、言葉だとか……本書を通じて感じていたのは、少し違うように思いました。遠藤周作が、原民喜の死に対して「貴方の死は何てきれいなんだ。貴方の生は何てきれいなんだ」と日記に書いているそうです。自死を讃えるつもりは、もちろん遠藤にはないでしょう。でも本書を一冊読むと、この言葉が分かる気がします。原民喜の自死まで含めて、それを描く梯さんの一冊が美しかった。原民喜を取巻く美しさに心を打たれながら、一冊に読みふけったように思います。

読書人は八月末に引っ越しをしました。その折、一番大変だったのは本の整理だったのですが、本棚だけでなくロッカーにまで、本を潜ませていた、その中に、奇跡のように原民喜の詩集がありました。梯さんの本を読まなければ、あえなく手放すことになったかもしれません。が、今も手元に置いています。 (S)
この記事の中でご紹介した本
原民喜 死と愛と孤独の肖像/岩波書店
原民喜 死と愛と孤独の肖像
著 者:梯 久美子
出版社:岩波書店
以下のオンライン書店でご購入できます
「原民喜 死と愛と孤独の肖像」出版社のホームページはこちら
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