吉増剛造著 『舞踏言語 ちいさな廃星、昔恒星が一つ来て、幽かに“御晩です”と語り初めて、消えた』 (論創社、二〇一八年五月)刊行記念 『舞踏言語 吉増剛造との三日間』 ~舞踏×言葉×映像~  (2018年9月26日~28日)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2018年10月6日 / 新聞掲載日:2018年10月5日(第3259号)

吉増剛造著 『舞踏言語 ちいさな廃星、昔恒星が一つ来て、幽かに“御晩です”と語り初めて、消えた』 (論創社、二〇一八年五月)刊行記念
『舞踏言語 吉増剛造との三日間』 ~舞踏×言葉×映像~ 
(2018年9月26日~28日)

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【プログラム】

◇第一夜=舞踏家・笠井叡 VS 吉増剛造、鼎談ゲスト=林浩平(詩人、批評家、プロデューサー)

◇第二夜=舞踏家・中嶋夏+霧笛舎 VS 吉増剛造(土方巽など)、鼎談ゲスト=森下隆(土方巽アーカイヴ)

◇第三夜=歌手・マリリア VS 吉増剛造(大野一雄の映像とともに)、鼎談ゲスト=樋口良澄(批評家、関東学院大学客員教授)、映像=鈴木余位
これまで数多くの舞踊家、音楽家、美術家と交わり、現代詩の最前線で表現の可能性に挑み続ける詩人・吉増剛造氏の舞踏に関する書籍『舞踏言語』の刊行を記念して、九月二六日~二八日の三日間、東京・両国のシアターX(カイ)で、『舞踏言語 吉増剛造との三日間』と題し、舞踏家とのパフォーマンスと対話、ゲストとの鼎談などが行なわれた。その最終日である第三夜を取材した。(編集部)
目 次

第1回
■大野一雄という巨大な彗星

右より、吉増剛造氏、マリリア氏、大野慶人氏、中嶋夏氏、樋口良澄氏


笠井叡氏、中嶋夏氏ら舞踏家との対話などが行なわれた二日間を終えた第三夜は、吉増剛造氏と妻で歌手のマリリア氏が登壇。マリリア氏は、大野一雄氏、吉増氏とのコラボレーション「花火の家の入り口で」をはじめ、荒木経惟氏とのコラボレーションなど、多くの舞台を国内外で行うヴォーカリスト。今回は大野一雄氏の映像とともに、マリリア氏が歌い、吉増氏が朗誦するパフォーマンスが行なわれた。暗転した舞台に浮かび上がる大野氏の舞踏映像と舞台から溢れ出すマリリア氏のヴォイス、天地を貫かんばかりの吉増氏の言葉のアクションが突き刺さり、突如この世に現出した夢幻の競演ののち、吉増氏とゲストの樋口良澄氏による対話がスタートした。

樋口良澄氏は「現代詩手帖」の元編集長で、『鮎川信夫、橋上の詩学』(思潮社、二〇一六年)などの著作のほか、吉増氏との共著『木浦通信』(矢立出版、二〇一〇年)がある。「現代詩手帖」の編集長時代には舞踏の特集を組むなど、大野一雄氏、土方巽氏など舞踏家との交流も深い。樋口氏は、「三日間の素晴らしい舞踏家のパフォーマンスを見て、言葉も出ないくらい」と語り、舞踏と言語の関わりについて「大野一雄さんは、いつもマジックで白い壁に言葉を書き連ねて、その言葉を繰り返し繰り返し考えながら舞踏を創られていた。そういうことの中に言語と肉体との出会いがあったと思うが、吉増さんはこの「舞踏言語」をどんなふうに考えていたのか」と、問いかけた。

吉増氏は、「どういう比較の仕方をすればいいのか、今となっては難しいが、土方巽さんが巨大な恒星だとすると、大野一雄先生は巨大な尾をひく彗星のような、そうした違いがあった」と前置きし、「土方さんの言葉も非常に難解だが、大野一雄さんの言葉はそれに輪をかけて難解だった。「現代詩手帖:舞踏特集」での大野一雄さんとの対話(一九八五年五月号)は、「死海」の水というタイトルだったが、大野先生が夢中でお話をなさるのに合いの手を入れて会話が成立した後、樋口さんと二人で一生懸命その言語が読者に少しでも伝わるようにという努力をした」と、大野一雄氏との対談で聴き手を務めたときのエピソードを紹介しながら、「そうしたことによって大野一雄さんに対する理解がそこで飛躍的に顕ち上がった。樋口さんは大野さんをなぜそんなふうにして引き出されたのか」と、問い返した。

樋口氏は、その問いには前提があるとして次のように答えた。

「八〇年代の詩の世界というのは、それまでの戦後の詩の世界に対するアンチテーゼがあった。それが発展してもっと普遍的な声、あるいはもっと垂直的な声というものを詩人たちが求めるようになったというふうに僕は見ていた。それはたとえば佐々木幹郎さんが中原中也を声という問題から問い直したり、藤井貞和さんが声の中に口承伝承、民話や歌の世界を入れていく。あるいは谷川俊太郎さんがわらべうたやなぞなぞに関心を持つ。吉増さんは八〇年代、北海道の北の朗唱のムーブメントに参加していったが、そういう動きがあって、垂直的な声ということを考えていったときに、土方さんではなくやはり大野さんではないかという直感が働いた」。
この記事の中でご紹介した本
舞踏言語 ちいさな廃星、昔恒星が一つ来て、幽かに“御晩です″と語り初めて、消えた/論創社
舞踏言語 ちいさな廃星、昔恒星が一つ来て、幽かに“御晩です″と語り初めて、消えた
著 者:吉増 剛造
出版社:論創社
以下のオンライン書店でご購入できます
「舞踏言語 ちいさな廃星、昔恒星が一つ来て、幽かに“御晩です″と語り初めて、消えた」出版社のホームページはこちら
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