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更新日:2018年10月12日 / 新聞掲載日:2018年10月12日(第3260号)

世界史ブーム

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書店の店頭では世界史ブームで、世界史関連の本がよく動いているそうである。世界史を「文字世界史」の観点からスケッチするという、著者の鈴木董氏は、世界史を読み解くうえで、文字の重要性をこのように説く。「文字は言語のまがきをこえて拡がり得る」。まったく系統を異にする言語、民族が文字を共有するとき、その文字の由来する文化・文明語の語彙を共有し、その概念をも共有することで、文字圏としての文化圏が浮かび上がる。そのフレームを通して見ると、たとえばアラビア文字圏における「アラブの春」の波及範囲や「イスラーム国」の影響域、ラテン文字圏がEU形成過程でコアになった点、キリル文字圏が「東西冷戦」の東陣営におけるコアになったことなどが読み解ける。そうした有用性ばかりだけでなく、非西洋中心史観で描かれた本書は、殊に「お隣の外国人」が当たり前となった日本において他者や異文化理解に繋がるものだと感じた。個人的な感想ではあるが、この文字世界の国々、人々にはこういう歴史があって宗教はこうでだからこういう人格なのか、というようなそれぞれの文字世界の輪郭、人となりがつかめたように思うのである。幼少の頃は博物学的なものに興味があり、小学校高学年のときに『インカ帝国』(泉靖一氏著、岩波新書)を読んで衝撃を受けたのが探求の出発点だったと語る鈴木先生の研究の厚みと知識の豊かさ、事象を結びつけて語る比喩の鮮やかさに圧倒されつつ、温厚で朗らかなお人柄にも魅了された。(T)
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