鈴木薫×黛秋津=対談  新たな「世界史」の見取り図  『文字と組織の世界史 新しい「比較文明史」のスケッチ』(山川出版社)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2018年10月12日 / 新聞掲載日:2018年10月12日(第3260号)

鈴木薫×黛秋津=対談
新たな「世界史」の見取り図
『文字と組織の世界史 新しい「比較文明史」のスケッチ』(山川出版社)

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第4回
■キャリア・パターン分析

鈴木 董氏
鈴木 
 私は法学部に進んだときに、比較政治史をやろうと思って政治学の専攻に行ったもので、世界をどう政治的にとらえるかということになる。近代西欧に対応して自己変革を始めるときには、やはり頭から始まるんです。ですから、エリートがどんな構成で、そのエリートが担っている組織がどんな仕組みになって、どう変わっていったかということに着目しなければと思いました。ただ、オスマン帝国については組織の全容についての文書資料がほとんど印刷になっていなかった。年代記はあるけれど、それだけでは組織の全容はわからない。それで考えたのは組織の中枢にいた人間の経歴を分析することでした。
黛 
 キャリア・パターン分析ですね。
鈴木 
 これがどう変わっていくかを見ればその流れがわかると思ったんですね。そうしたエリートの容れ物としての組織というものに興味を持ち出しました。当時は私も、それを組織としてはっきりとらえていたかどうかはわからないのですが、本格的に組織として意識しだしたのは一九七五年に帰国してからかも知れません。それから読んだのは、政治学の本よりは経営学の本なんです。この本の中の組織の定義「目標達成のための恊働のシステム」は、チェスター・バーナードの『経営者の役割(The Functions of the Executive)』という本に出てくる、バーナードの組織論を踏まえての定義なんです。そういう組織が発展していくと中核を担う人間が違ってくる。中核を担う人間が変わっていくことで組織がどう変わっていったかが見えるんです。もっとも、留学前に既に修士論文ではその始まりについて二次史料を主に使って十六世紀までのエリートの変遷を追っていました。
黛 
 オスマン帝国の場合は、十六世紀以降であれば何とか一次史料で追えそうですが。
鈴木 
 十四世紀、十五世紀の前半までがなかなか難しいのです。それで学位論文では、一定のランク以上の世俗的エリートということで、パシャ(オスマンの高官の称号)の称号を帯びた人物について原初の十三世紀末から十八世紀末にあたる回暦一二〇〇年に亡くなったパシャまでを取り上げて分析してみました。
黛 
 基にした史料は年代記と『シジッリ・オスマーニ』 という編纂ものでしょうか。
鈴木 
 編纂ものですが、とりあえず大きな見取り図を得るにはそれを基礎にするしかない。全四巻で一万五〇〇〇人分くらいの略伝が入っていて、前近代が八〇〇〇人くらい。そのうちパシャの称号を帯びているのは一五〇〇人くらいなんです。そのキャリア・パターンを抽出した。
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この記事の中でご紹介した本
文字と組織の世界史 新しい「比較文明史」のスケッチ/山川出版社
文字と組織の世界史 新しい「比較文明史」のスケッチ
著 者:鈴木 董
出版社:山川出版社
以下のオンライン書店でご購入できます
オスマン帝国の解体 文化世界と国民国家/講談社
オスマン帝国の解体 文化世界と国民国家
著 者:鈴木 董
出版社:講談社
以下のオンライン書店でご購入できます
「オスマン帝国の解体 文化世界と国民国家」出版社のホームページはこちら
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