第53回 文藝賞 授賞式開催|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2016年11月4日 / 新聞掲載日:2016年11月4日(第3163号)

第53回 文藝賞 授賞式開催

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青が破れる(町屋 良平)河出書房新社
青が破れる
町屋 良平
河出書房新社
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10月24日、東京都内のホテルで第53回文藝賞の授賞式が行われた。受賞作は町屋良平氏の『青が破れる』(河出書房新社より発売中の「文藝」冬季号に掲載。単行本は11月刊行予定)。

各選考委員の挨拶で藤沢周氏は「僕らは未来が予測できないゆえに数式化したりもしますが、小説の世界はある文法に乗っかって書くと、軽く浅いものになって大事なものを取り残してしまうと思います。ところが町屋さんの作品は、僕らが慣れ親しんだ単純な文法ではちょっと読み込めない深さがあります。一見シンプルな物語だし身近な人間が三人もなくなってしまうので、それはないだろうと最初は思うのですが、その死がすごく自然です。僕らが死に対しておぼえる悲しみとは違う位相でもっと深い悲しみが透かし見えているという新しさがある小説でした。西田幾多郎が人間の心は本来神と悪魔の戦場であると言いましたが、町屋さんの作品は崇高な部分の中に俗悪さがあったり、俗悪な部分に非常にピュアな部分があります。この書き手は善悪性を全部抱え込んで咀嚼して、どうやったら主人公を正確に描き時代社会を描けるかを詰めてやるタイプだなと思います。きっとこれから彼の作品の中から新しい風景が続々と出てくるのではないかと期待しています」と評価した。
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町田康氏は「町屋さんの小説は自分の人生の実態というか、上っ面ではなく自分の心の中に重りがちゃんとつながっているような実態のある言葉で綴られていて、それが他の候補作とは決定的に違っている気がして受賞にふさわしいと思いました。文章そのものが物語を作っていく、自分の中で練られた完成形のような言葉があるのが素晴らしい。二作目も期待しています」と述べ、他に斎藤美奈子氏、保坂和志氏もそれぞれに挨拶をした。
受賞者の町屋氏は選考委員をはじめ、家族や自分を応援してくれた人たちへの感謝を述べたのち、「私は小さい頃から物語が好きで、本に憧れて育ってまいりました。あまり勉学には熱心ではなく、その意味では両親には多大なる迷惑をかけておりましたが、文学への興味だけは薄れることなくずっと持ち続けてまいりました。小説は広い場所です。色々な考えや人間を受け入れてくれます。私はこのたび文藝賞という大きなチャンスをいただけたので、これからはまだ言葉にされていない人間の小ささや自然とともに生きること、それから小説について考えて自分なりのものを書いていければいいなと思っております。短くはありますがこれにて受賞の挨拶とさせていただきます」と用意した文章を読み上げて受賞の挨拶とした。
この記事の中でご紹介した本
青が破れる/河出書房新社
青が破れる
著 者:町屋 良平
出版社:河出書房新社
以下のオンライン書店でご購入できます
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