緋色の研究 書評|コナン・ドイル(新潮社)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

【書評キャンパス】大学生がススメる本
更新日:2018年10月20日 / 新聞掲載日:2018年10月19日(第3261号)

コナン・ドイル著『緋色の研究』 
就実大学 小寺 久美

緋色の研究
著 者:コナン・ドイル
出版社:新潮社
このエントリーをはてなブックマークに追加
緋色の研究(コナン・ドイル)新潮社
緋色の研究
コナン・ドイル
新潮社
  • オンライン書店で買う
小学生の頃、気が付けばテレビで流れていたアニメがあった。国民的推理アニメの『名探偵コナン』である。私の中で推理モノブームが起きたのはその頃で、小学校の図書室にあったホームズシリーズの漫画はすべて読み、理解することはなかったがとてもワクワクした記憶だけは残っている。

ホームズシリーズを小説で読み始めたのは、中学生になってからである。最初は、順当に第一作を選んだ。世に存在するシャーロック・ホームズに関するワトソン博士の回顧録の原点はこの作品だ。シャーロキアンへの道を進むのであれば、まさにスタート地点にふさわしいのではないだろうか。

アフガニスタンでイギリス軍の軍医を務めていたが、怪我により本国へ戻ってきたワトソンは、助手をしていたスタンフォードから、シャーロック・ホームズという特異な人物を紹介され、ベイカー街221Bで共同生活を行うことになった。鋭い観察力と推理力を持つ傍ら、傲慢な性格で、特異な興味と好奇心を持つ、ある意味子供のようなホームズに、ワトソンは反感交じりに驚嘆する。彼こそが、世界一の探偵なのだ。

その二人のもとに、ある日スコットランド・ヤードのグレグスン刑事から事件の協力を頼みたいという一通の手紙が届き、ホームズはワトソンと共に現場に向かう。そこは空き家で、イーノック・ドレッバーという名刺を持った中年の男が殺害されていた。飛び散った血の跡があるものの、死体に外傷や争った形跡もない。空き家の外にはいくつかの足跡と馬車の跡、そして壁には「RACHE」という血文字が書かれ、女性用と思われる結婚指輪が落ちていた。

困惑するグレグスンと、彼と対立しているレストレード刑事をよそに捜査を開始したホームズは、殺害方法、犯人の特徴などを独自の見解と方法で推理していく。さらに新聞の遺失物取得欄に「指輪を拾った」という広告を出すが、訪ねてきたのはホームズが予想していた赤ら顔の男ではなく老婆で、彼女の尾行をするも気付かれ撒かれてしまう。この段階でホームズはすでに犯人を特定していたのではないかと私は感じた。

グレグスンは、犯人を逮捕したとして、海軍中尉のアーサーの名を挙げた。アーサーは、殺害されたドレッバーと、ドレッバーの秘書であるスタンガスンの下宿先の息子である。動機は、アーサーの妹であるアリスにドレッバーがちょっかいを出したため、その怒りによるものだと言う。グレグスンは逮捕までの経緯を語って得意がったが、そこへレストレードが、スタンガスンが刺殺されるという報をもたらす。犯人捜しは振出しに戻ったかと思われたが、スタンガスンが殺害されたと思わしきプライベート・ホテルの一室で見つかった証拠品に、ホームズは真相に至る最後のピースを見出す。それは遠く離れたアメリカ内陸部、モルモン教徒の町に暮らしていたある娘をめぐる、逃避行と復讐心、そして執念によって出来上がった事件だった。

ワトソンは真相を見抜いたホームズに感心する。しかし、新聞が刑事達による手柄と報道したため、自分の日記にこの殺人事件をめぐる「緋色の研究」の一部始終を書きとめ、いずれは大衆も真相を知ることになると、ホームズを元気付けるのであった。

記念すべきホームズシリーズの第一作目ということもあってか、内容も構成もオーソドックスではないかという印象を受けた。この小説が書かれたのは一八八六年で一世紀前の作品ということになるが、トリッキーというよりも普通であるという印象は、年月の経過によるところが大きいだろう。ただ古いながらも、その古さが魅力になっていると思う。このオーソドックスさを第一作目で表現したことによって、たくさんのシャーロキアン達がホームズの世界に魅了されていったのだろう。もちろん、私もそのうちの一人である。 (延原謙訳)
この記事の中でご紹介した本
緋色の研究/新潮社
緋色の研究
著 者:コナン・ドイル
出版社:新潮社
以下のオンライン書店でご購入できます
「緋色の研究」出版社のホームページはこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加
【書評キャンパス】大学生がススメる本のその他の記事
【書評キャンパス】大学生がススメる本をもっと見る >
文学 > 外国文学 > 英文学関連記事
英文学の関連記事をもっと見る >