『日本が売られる』 幻冬舎より刊行 堤 未果著|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

出版メモ
更新日:2018年11月6日 / 新聞掲載日:2018年11月2日(第3263号)

『日本が売られる』 幻冬舎より刊行 堤 未果著

このエントリーをはてなブックマークに追加
日本が売られる(堤 未果)幻冬舎
日本が売られる
堤 未果
幻冬舎
  • オンライン書店で買う
この本を読んでまず頭に浮かんだのは「民は之に由らしむ可し 之を知らしむ可からず」という論語の一節の誤用であった。つまり、国民には本当のことを知らせてはならない、黙って従わせていればいいのだ。という誤った解釈がまかりとおり、愚かな政治家やハゲタカといわれる投資家たちによって、日本人が大切にしていかなくてはならないものが、知らないうちにどんどん奪われていくという姿が読後に残された。

日本をよく見直してみると世界に誇るべきものがたくさんある。それは水であったり、農地、種、米、森、教育、医療、介護、保険制度、学校など、日常の中にごく当たり前のように存在するものや仕組みであったりと多様である。ところが、米国からの政治的圧力や、ウォールストリートの投資家などが目をつけることによって、かけがえのない日本の資産が買い占められ破壊されているという。私たちふつうの日本人には気付かないところでグイグイとである。気付かないうちに失って後で取り返しのつかないことになるのではないか、というのがこの一冊に書かれた警鐘である。

いまや、新聞、テレビ、雑誌などジャーナリズムがほんらいの力を失い、核心を突いて真実を理解させるメディアは「本」だけになっているのではないか、という恐れをこの一冊から読み取ることができる。知らずに見過ごしていくことの罪深さを、読者一人ひとりが自覚して、ここに書かれていることの数々を自ら検証し、どうすればいいのかということに声を大にしなくてはならない時代なのであろう。
ちなみに、冒頭に挙げた一節は「民には決まりにしたがってもらわなければならないが、何故従わなくてはならないのかということを理解させることは難しい」ということが本意で、政事を受け持つ者は、民のことをよく考えて、民が幸せになるようにはかっていかなくてはいけない、という為政者への諌めの意味があるのだ、ということも考えておきたい。(K)

(新書判・291頁・本体860円)幻冬舎TEL:03・5411・6222
この記事の中でご紹介した本
日本が売られる/幻冬舎
日本が売られる
著 者:堤 未果
出版社:幻冬舎
以下のオンライン書店でご購入できます
「日本が売られる」出版社のホームページはこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加
出版メモのその他の記事
出版メモをもっと見る >
社会・政治 > 社会全般関連記事
社会全般の関連記事をもっと見る >