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漢字点心
更新日:2018年11月20日 / 新聞掲載日:2018年11月16日(第3265号)

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昭和初期に外務大臣や首相を務め、東京裁判で死刑となった広田弘毅の生涯を描いた城山三郎『落日燃ゆ』の中に、こんな場面がある。

悩んだ末に総理大臣の大命を拝受した広田は、親任式で、天皇から「名門をくずすことのないように」と注意されて愕然とする。平民出身の自分には、総理としての資格がないのだろうか……。「索漠とした思いで、広田は礼服の肩を落して宮中を出た」と、作家は記している。

「索漠」のような、のごとの状態を表す熟語は、一種の当て字であって、漢字そのものに深い意味はないことが多い。とはいえ、ここの「索漠」は、ちょっと気になる。なぜなら、「索居」という熟語があるからだ。この場合の「索」は、孤独であることを表す。

「名門」に支配された政治の中枢で、総理大臣であるとはいえ、たった一人の平民の自分に何ができるのか……。この「索漠」は、広田の孤独にさらに深みを与えている気がする。
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