巽孝之著『パラノイドの帝国 アメリカ文学精神史講義』(大修館書店)刊行記念 異端の時代のパラノイド・スタイル----ホフスタッターを超えて---- 巽孝之×森本あんり トーク&サイン会レポート|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2018年11月30日 / 新聞掲載日:2018年11月30日(第3267号)

巽孝之著『パラノイドの帝国 アメリカ文学精神史講義』(大修館書店)刊行記念
異端の時代のパラノイド・スタイル----ホフスタッターを超えて----
巽孝之×森本あんり トーク&サイン会レポート

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第3回
■アメリカ人の思考のタイプ


アメリカのパラノイド・スタイルを示す1つの型として「インベーダーもの」のテレビドラマを好む傾向があることに言及される。なぜ宇宙人を扱った作品が増えたのか、森本氏が解説する。「1957年のスプートニク・ショック以来、アメリカ人のなかにUFOを見たという人が急増するんですよね。空を見て変なものがあればUFOだろう、と。そしてどんどん話が膨らんでいって宇宙人に攫われた人や交信する人が出てくる。しまいには宇宙人との子どもを産んだという人まで現れてたちまち宗教化していきました。人間の想像力の広がりが作る世界のリアリティを感じたものです。日本ではインベーダーもののテレビドラマはとっくに見かけなくなりましたが、アメリカでは今でも何かしらやっていて、平気で楽しんでいる。これもアメリカ人の思考のタイプだといえるのではないでしょうか」と述べると、巽氏はこのアメリカ人の精神構造をさらに掘り下げる。「UFO話の元になっているのは17世紀のインディアン・キャプティビティ・ナラティブなんですね。白人のピューリタンがインディアンに攫われて、カナダとの国境を越えてカトリックに渡されることを恐れていました。信仰心を変えられる恐怖ですね。これが現代のエイリアンに攫われる恐怖の原型なんですよ。つまり最初から陰謀妄想ありきのアメリカ人の好きなタイプだと言えます。ただアメリカ人にとって陰謀妄想は大事で、これがないと征服欲も生じない。北米大陸を開拓していく「マニフェスト・デスティニー」と陰謀妄想は裏表の関係だったのではないでしょうか。これこそアメリカの精神史の面白い部分ですし、アメリカという国は植民地時代からパラノイド・スタイルがあったのではないか、ということが見えてきます」と解説した。

トークは他にも「異端と正統」の議論、「コン・マン」への言及、映画『グレイテスト・ショーマン』で描かれたP・T・バーナムについてなど多角的な切り口でアメリカ社会の精神構造を読み解きながら締めくくられた。
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この記事の中でご紹介した本
パラノイドの帝国 アメリカ文学精神史講義/大修館書店
パラノイドの帝国 アメリカ文学精神史講義
著 者:巽 孝之
出版社:大修館書店
以下のオンライン書店でご購入できます
「パラノイドの帝国 アメリカ文学精神史講義」出版社のホームページはこちら
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