角川四賞 山田風太郎賞、横溝正史ミステリ大賞、日本ホラー小説大賞、野生時代フロンティア文学賞 贈賞式|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2018年12月7日 / 新聞掲載日:2018年12月7日(第3268号)

角川四賞 山田風太郎賞、横溝正史ミステリ大賞、日本ホラー小説大賞、野生時代フロンティア文学賞 贈賞式

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左から岩井、福士、真藤、犬塚氏


十一月三十日、東京・千代田区の帝国ホテルで、角川四賞の贈呈式が行われた。第九回山田風太郎賞は真藤順丈『宝島』(講談社)、第三十八回横溝正史ミステリ大賞は受賞作なし、優秀賞は犬塚理人『人間狩り』、第二十五回日本ホラー小説大賞は、福士俊哉『黒いピラミッド』(「ピラミッドの怪物」改題)と大賞および読者賞に秋竹サラダ『祭火小夜の後悔』(「魔物・ドライブ・xデー」改題)、第九回野生時代フロンティア文学賞に岩井圭也『永遠についての証明』(四作ともKADOKAWA)に決まった。
宝島(真藤 順丈)講談社
宝島
真藤 順丈
講談社
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山田風太郎賞受賞の真藤氏は「構想から数えると七年かかった作品です。まず二年がかりで書き上げ二千枚超の長編になり、勇んで編集者に渡したところ、全ボツを食らいました。相当な衝撃で…しかし編集者にこれでは殻が破れない。最初に語っていた「戦果アギヤー」についてが読みたいんだと言われ、背水の陣で改めて現地に取材に通い、野宿をして、他の出版社の仕事も全て止めてもらって、この作品だけを書き続けて、何とか書き上げました。この業界は本当に恐ろしいところで、売り物にならない作品には無情な裁きが下ります。でもこうして山田風太郎賞という大きな賞をいただき、あのときの編集判断は間違っていなかったと。編集者たちの、情では動かなかった小説への誠実さのおかげだと思っています」と挨拶をした。
人間狩り(犬塚 理人)KADOKAWA
人間狩り
犬塚 理人
KADOKAWA
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横溝賞選考委員の恩田陸氏は「単独の賞としては最後となりますが、大賞を出すことができませんでした。候補作のレベルは決して低くなかった。四人の選考委員の推す作品がバラケたという選考がそのことを証明しているのではないかと思います。ただ逆にいうと決め手にかけた。
犬塚さんの『人間狩り』は、現代的なモチーフをうまくエンターテインメントにまとめていて面白く読めました。これからもっと上手になる人だと思うので、期待しています」。加えて「新人賞の選考過程で、この人は出し惜しみをしているのではないか、と思うことがたびたびありました。プロになっても毎回必死にベストを尽くして、せいぜい現状維持です。毎回ベストを尽くして作品をぶつけてきてほしい、という思いがありました」と語った。
黒いピラミッド(福士 俊哉)KADOKAWA
黒いピラミッド
福士 俊哉
KADOKAWA
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次に日本ホラー小説大賞選考委員の宮部みゆき氏は「全く方向性も読み心地も、怖さも面白さも違う二作品を送り出すことができて喜んでいます。『黒いピラミッド』はジェットコースター的な面白さを持つ、冒険ホラー小説です。完成した書き手が出てきてくれたという感想を持ちました。『祭火小夜の後悔』は、この清楚で魅力的な小夜ちゃんのキャラクターが、作品全体のチャームを支えています。が、彼女はヒロインであり、主要に話を先導し、かつ怪異を体験するのは学校の先生なのですが、いきなり彼がぶつかる怪異が大変恐ろしいのです。物を裏返すということがこんなに怖いのかと。日常に引きずってしまう怖さがある作品でした」
祭火小夜の後悔(秋竹 サラダ )KADOKAWA
祭火小夜の後悔
秋竹 サラダ
KADOKAWA
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今回を最後に、横溝正史ミステリ大賞と日本ホラー大賞は合わせて一つの賞になる。そのことについては、「母校が合併でなくなるようなさみしさはあるのですが、横溝正史賞にはかつて、鈴木光司さんの『リング』が応募されて、最終候補作まで残り、ミステリではないのではないかということで受賞が見送りになった。でもあまりにも怖くて面白かったので、ホラー小説を受け皿にする賞を作ったという歴史があるそうです。ここで一巡りして、また一緒になるというのは創設時の初心に戻ることでもあると思います」と宮部氏。
永遠についての証明(岩井 圭也)KADOKAWA
永遠についての証明
岩井 圭也
KADOKAWA
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また野生時代フロンティア文学賞選考委員の辻村深月氏は、「岩井圭也さんは昨年同賞の奨励賞を取りました。昨年の応募作の中でも群を抜いていたのですが、今一つ何かが足りない。それは選考委員たちから教えられるようなことではなかった。今年最終候補作が挙がってきて、一読して、昨年落して本当によかったと思いました。

選考後に聞いたのですが、この賞にもう一作応募してくださっていたと。さらに横溝正史ミステリ大賞の最終候補作の一本も岩井さんの作品です。それらは全て、昨年の奨励賞を受けてから書かれたものだと聞きました。この人はすごく負けず嫌いな人だと思います。作家としてやっていくときに負けず嫌いで強い部分は必ず書き手を支えてくれます。 

これはある天才の話です。若くして亡くなった数学者が残した証明の問題。それについて残された親友が証明をするという話です。この小説はクライマックスが素晴らしいです。読んでいると選考を忘れて、証明を聞く一人として作品世界に取り込まれていました。数学の知識がない人が読んでも、優れた小説は読者に絵や映像や思いを届けてくれるものなのだと思います」と語った。

その後、賑やかな祝宴となった。
この記事の中でご紹介した本
宝島/講談社
宝島
著 者:真藤 順丈
出版社:講談社
以下のオンライン書店でご購入できます
人間狩り/KADOKAWA
人間狩り
著 者:犬塚 理人
出版社:KADOKAWA
以下のオンライン書店でご購入できます
黒いピラミッド/KADOKAWA
黒いピラミッド
著 者:福士 俊哉
出版社:KADOKAWA
以下のオンライン書店でご購入できます
祭火小夜の後悔/KADOKAWA
祭火小夜の後悔
著 者:秋竹 サラダ
出版社:KADOKAWA
以下のオンライン書店でご購入できます
永遠についての証明/KADOKAWA
永遠についての証明
著 者:岩井 圭也
出版社:KADOKAWA
以下のオンライン書店でご購入できます
「永遠についての証明」出版社のホームページはこちら
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