第41回巖谷小波文芸賞  第58回久留島武彦文化賞 贈呈式|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2018年12月14日 / 新聞掲載日:2018年12月14日(第3269号)

第41回巖谷小波文芸賞  第58回久留島武彦文化賞 贈呈式

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左より渥美氏、劇団らくりん座、ミロコ氏
第四十一回巖谷小波文芸賞はミロコマチコ氏に、第五十八回久留島武彦文化賞団体賞は日本教育演劇道場・劇団らくりん座、個人賞は創作・口演童話家の渥美多嘉子氏に決まり、十一月二十八日、千代田区神田の山の上ホテルで贈呈式が行われた。
文芸賞は選考委員を代表して、野上暁氏が選考経過を述べた。「ミロコマチコさんは、『オオカミがとぶひ』(イースト・プレス)で二〇一二年に絵本作家としてデビューし、日本絵本賞大賞を受賞。二〇一三年刊行の『てつぞうはね』(ブロンズ新社)で第四十五回講談社出版文化賞絵本賞、同年『ぼくのふとんは うみでできている』(あかね書房)で第六十三回小学館児童出版文化賞と、大きな賞を次々受賞してきました。国際的にも『オレときいろ』(WAVE出版)で、二〇一五年ブラティスラヴァ世界絵本原画展の金のりんご賞を、二〇一七年には『けもののにおいがしてきたぞ』(岩崎書店)で同賞の金牌を受賞するなど、高い評価を得ています。今回の授賞理由は、〈これまでにない地球的スケールの野生を見事に現出し、絵本の枠を超えた演劇性や文学性を感じさせる表現のダイナミズムを高く評価して贈呈する〉と。演劇性とは例えば、『けもののにおいがしてきたぞ』で、原始時代の原野を思わせるような、鬱蒼と植物が生い茂るけもの道を、正体不明の黒い影が目を光らせて進んでいく。〈けもののにおいがしてきたぞ〉という呪文のような言葉とともに、岩がごろごろ転がったり、道がうなり声をあげたり、あやしい鳥が飛びまわったり、草も木も震え立つような場面展開の中から、得たいの知れない野生のにおいが立ち上がってきます。絵本というビジュアル表現の中に、音や匂いがあふれ、読み手の聴覚や嗅覚も刺激するのです。このようなダイナミックな表現から、絵本の枠を超えた演劇性や文学性が立ち上がってくる。それがミロコさんの他の作品にも共通するものです。巖谷小波が日本の近代絵本史上に残した功績は実に大きく、しかも自分の作品を朗読する口演童話を仕立てて、日本全国、あるいは今の韓国や台湾にも何度も口演に出かけています。口演童話は声に出して演ずることによって、視覚や聴覚にも訴える演劇的文芸の表現でもあります。ミロコさんの作品が、絵本の枠を超えた演劇性や文学性を感じさせる、表現のダイナミズムとして評価されたというのは、まさにこのような点で、巖谷小波の精神に繋がっているわけです。ミロコさんは、個展や、子どもたちを対象としたワークショップ、ライブペインティングも精力的に行い、多彩な表現活動を続けられておられます。今後ますますのご活躍を期待しています」

久留島武彦文化賞は、青少年文化の向上と普及に貢献した人、及び団体を顕彰するもの。選考委員を代表して結城昌子氏が経過を報告した。「団体賞の日本教育演劇道場・劇団らくりん座は、一九五二年に創設され、六〇年以上にわたり、栃木県那須塩原市を中心に全国の子どもたちに生きる力となる劇を届けるという児童演劇活動を行ってきました。何よりも、全国の学校への巡回演劇公演を行うなど、青少年の情操の育成に尽力してこられました。それらを通し、地元の子どもたちに年齢を越えた繫がりの場を提供し、表現する喜びや皆で一つの舞台を想像する喜びを育成してこられた姿勢は高く評価されるものだと思います。

個人賞の渥美多嘉子さんは、お話の力で、子どもたちの集中力を培いながら、豊かな想像力を育んでいらっしゃいます。熊本の地震のときにも子どもたちに安らぎを与える活動を続けておられました。一九八三年以来、熊日童話会の会員として活動し、幼稚園、保育園、小学校、支援学校などへお話ボランティア活動を続けています。自作の創作童話の口演童話化にも取り組んでいます。熊日童話会会長就任以来、会の存続と発展に尽くしてこられた功績は特筆に値すると考えられます」と述べた。
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