第六六回菊池寛賞(平成三〇年) 贈呈式開催|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2018年12月21日 / 新聞掲載日:2018年12月21日(第3270号)

第六六回菊池寛賞(平成三〇年) 贈呈式開催

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左から松任谷氏、明治書院・三樹氏、
東海テレビ報道局・阿武野勝彦氏・内田氏、佐伯氏
十二月七日、第六六回菊池寛賞贈呈式が開催された。受賞者は佐伯泰英氏、東海テレビドキュメンタリー劇場、明治書院『新釈漢文大系』、松任谷由実氏の四組。受賞者の言葉から一部を紹介する。

■受賞の言葉

佐伯泰英氏は冒頭、「菊池寛賞がメディア発表になった直後、ツイッターに佐伯が菊花賞をとったらしいという呟きが流れたと娘が教えてくれた」と会場を沸かせ、次のように続けた。「二〇年前、すでに出版バブルは崩壊して、文庫書き下ろしという出版形態が一部で始まっていた。最初の文庫書き下ろし時代小説は出版社からの期待感もなかったが、その一冊目が増刷になり、そのおかげで次の仕事の依頼がきた。一冊書くのに二十日余り、一年に十六、十七冊を書いて「月刊佐伯」と呼ばれていた時期もあった。この二〇年間で書いた二五四冊の文庫が私のすべて。賞の打診を受けたときは私で良いのだろうかと思ったが、はたと、来年で七七才になる自分の年齢に気づき、この場を借りて長年の不義理をお詫びしようと考えた」と、支えてくれた読者への感謝とその期待に応えるためにこれからも書き続けることを約束した。

東海テレビ代表取締役社長の内田優氏は、「ドキュメンタリー番組というのは長い時間をかけて制作しながら、放送はたった一回、しかも深夜が一般的だった。しかし丹精込めた自分たちの作品を一人でも多くの方に観て欲しくて土日祝の明るい時間帯の放送やドキュメンタリー番組の映画化を思いついた。そのうちの一つ、映画「人生フルーツ」は二五万人を超える方に観ていただき異例のヒットになった。今回の受賞はこうした先駆的な取り組みに対するご褒美というふうに受けとめている。ローカルテレビ局の経営環境は本当に厳しいが映像文化、テレビジャーナリズムを堅持するため、これからも良質なドキュメンタリー番組を制作し、映画化したい」と語った。

明治書院代表取締役社長の三樹蘭氏は、昨年遂に完結を迎えた『新釈漢文大系』について、「中国重要古典を網羅した最高峰の大系であり、中国古典の叡知がこの大系に収録されている」と紹介。当初は全二三巻の計画で刊行開始したものが読者の要望を受け増巻を重ね最終的に一二〇巻・別巻一の計一二一冊、執筆者述べ一三二名となり、多くの方のお力を借りてこの大系は成り立っているとして、「完結までの五八年間には社会的状況も大きく変化し、継続的な刊行は少なからず困難を伴った。だがその困難を乗り越え完結に立ち会えたことは全社員の誇り。末永く読み継がれていくことを心から願っている」と感慨を述べた。

松任谷由実氏は、自らの音楽表現と歌について、「私は五分で味わえる短編小説を作るつもりで四五年間たくさんの歌を作ってきた。音楽は時間をデザインするということが他の表現と大きく違うところで、私の歌作りは音律にそれしかないという言葉をのせ編んでいく。歌は美しい表現、響き、それらをより軽やかに、鮮やかに、あるときは憂いを含み、雨の匂いや風の色まで運んで人々に届かせ、思い出に刻まれ、ストーリーになっていく。歌はそれをくちずさむ人が死に絶えてしまったら消滅する。そう遠くない未来に私の名前が消え去っても、私の歌だけが詠み人知らずとして残っていることが私の理想。この受賞を励みに、これからも最新の注意力と集中力を働かせ、大胆なパフォーマンスを続けていきたいと思っている」と受賞の喜びを語った。
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