胸躍る「知の冒険」へ 溝井 裕一|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

トピック
更新日:2018年12月26日 / 新聞掲載日:2018年12月21日(第3270号)

胸躍る「知の冒険」へ
溝井 裕一

このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年は、瞬く間に過ぎ去ろうとしています。この年の前半は、とにかく拙著『水族館の文化史』を刊行するために全力をあげました。まず、あれもこれもと欲張って情報を追加するうちに約360ページに膨らんでしまったので、校正が大変でした。

また本の「顔」となる、タイトルや表紙のデザインをどうするかを、編集者の堀郁夫氏と真剣に検討しました。主題を『水族館の文化史』とするのは前から決めていましたが、副題のほうは悩みます。《「海づくり」をめぐる物語》、《ひとと海洋の〇〇年史》といったアイデアは浮かびますが、あまりピンときません。

そこで、あらためて本書の内容を振り返ってみました。私がこの本で強調したかったのは、水族館は、水界をまるごとコピーするというよりはむしろ、私たちが水界について「イメージしていること」を表象する施設なのだ、という点でした。そしてひとつのコンセプトにしたがって、スタッフ、生きもの、建築が融合し、ひとつの「宇宙」がつくられるのであると。

こう考えながら、大学から帰宅するおり、ふと「魔術的世界」という言葉が浮かびました。本書にもこの語は登場しますが、かつてファウスト伝説の研究に携わっていたせいでもあるでしょう。堀氏と相談して、最終的に『ひと・動物・モノがおりなす魔術的世界』となりました。
そして無事刊行が終わって、やれやれ、これでひと休みと思い、本書がどう評価されるかはつとめて考えないようにして、執筆に専念するあいだ断念していた日常の楽しみをとりもどすことにしました。それが秋になって、サントリー学芸賞を受賞することになったというありがたいお知らせをいただくことになります。これも堀氏や、恩師をはじめとする国内外の大学・水族館・関係者のご支援のたまものです。

そしていまは、これまでに得たノウハウと知識をいかしつつも、さらに新しい地平を切り拓くべく、資料と向かいあっております。願わくばその成果も、読者の皆様と私にとって、胸躍る「知の冒険」とならんことを。(みぞい・ゆういち=関西大学文学部教授)
この記事の中でご紹介した本
水族館の文化史 ひと・動物・モノがおりなす魔術的世界/勉誠出版
水族館の文化史 ひと・動物・モノがおりなす魔術的世界
著 者:溝井 裕一
出版社:勉誠出版
以下のオンライン書店でご購入できます
「水族館の文化史 ひと・動物・モノがおりなす魔術的世界」出版社のホームページはこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加
溝井 裕一 氏の関連記事
トピックのその他の記事
トピックをもっと見る >
人生・生活 > 生き方関連記事
生き方の関連記事をもっと見る >