明治維新から一五〇年 没後二〇〇年の松平不昧も忘れてはならない|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2018年12月23日 / 新聞掲載日:2018年12月21日(第3270号)

明治維新から一五〇年
没後二〇〇年の松平不昧も忘れてはならない

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今年は、明治維新から一五〇年ということで、関連の書籍が多く出された。

特に注目すべきは、上田純子・公益財団法人僧月性顕彰会編『幕末維新のリアル―変革の時代を読み解く7章』(吉川弘文館)だろう。本書は、二〇一七年で生誕二〇〇年を迎えた月性の出生地である山口県柳井市で行われた、七人の研究者による連続講演会の記録である。その性質上、非常に読みやすく、特に第一章の三谷博「幕末維新の、ここが面白い」は、グローバルな視点から幕末維新を読み解いた、刺激的な論文である。

ほかに、稀少写真一八二点からなる永井博『古写真で見る幕末維新と徳川一族』(KADOKAWA)をはじめ、岩下哲典『江戸無血開城―本当の功労者は誰か?』(吉川弘文館)、羽賀祥二・名古屋市蓬左文庫編著『名古屋と明治維新』(風媒社)がある。また、人物史としては、坂本一登『岩倉具視―幕末維新期の調停者』、宮地正人『土方歳三と榎本武揚―幕臣たちの戊辰・箱館戦争』(以上、山川出版社)が挙げられる。

そして、没後二〇〇年を迎えた松江藩主松平不昧も忘れてはならないだろう。今年は、東京、島根の博物館・美術館を中心に不昧公に関する様々な展示会が行われた。その不昧の茶人としての生涯を描いたのが、木塚久仁子『松平不昧―名物に懸けた大名茶人』(宮帯出版社)である。続けて人物史の成果を取り上げると、玉蟲敏子『酒井抱一―大江戸にあそぶ美の文人』をはじめ、林淳『渋川春海―失われた暦を求めて』、(以上、山川出版社)、見瀬和雄『前田利長』、稲葉継陽『細川忠利―ポスト戦国世代の国づくり』(以上、吉川弘文館)、藤田覚『光格天皇―自身を後にし天下万民を先とし』(ミネルヴァ書房)がある。

また近年、展示会が盛況なのは刀剣のようだが、深井雅海『刀剣と格付け―徳川将軍家と名工たち』、尾脇秀和『刀の明治維新―「帯刀」は武士の特権か?』(以上、吉川弘文館)を得た。江戸時代に刀剣はどう扱われたか、帯刀とはなにか、いずれも好奇心をそそられる書。

女性については、福田千鶴『近世武家社会の奥向構造 ―江戸城・大名武家屋敷の女性と職制』(吉川弘文館)、畑尚子『島津家の内願と大奥―「風のしるへ」翻刻』(同成社)が出された。

国家、外交分野では、木村直樹・牧原成征編『十七世紀日本の秩序形成』、長坂良宏『近世の摂家と朝幕関係』、吉岡誠也『幕末対外関係と長崎』、安高啓明『踏絵を踏んだキリシタン』(以上、吉川弘文館)、杉本史子『近世政治空間論―裁き・公「日本」』(東京大学出版会)、藤本仁文『将軍権力と近世国家』(塙書房)など。

ほかに、下重清『シリーズ藩物語 小田原藩』(現代書館)、柴田純『考える江戸の人々―自立する生き方をさぐる』(吉川弘文館)、氏家幹人『大名家の秘密―秘史『盛衰記』を読む』(草思社)、福留真紀『名門水野家の復活―御曹司と婿養子が紡いだ100年』(新潮社)、藤田覚『勘定奉行の江戸時代』(筑摩書房)、若尾政希『百姓一揆』(岩波書店)などが出された。(ふくとめ・まき=東京工業大学准教授・日本近世史)
この記事の中でご紹介した本
幕末維新のリアル  変革の時代を読み解く7章/吉川弘文館
幕末維新のリアル 変革の時代を読み解く7章
著 者:上田 純子
編 集:公益財団法人僧月性顕彰会
出版社:吉川弘文館
以下のオンライン書店でご購入できます
「幕末維新のリアル 変革の時代を読み解く7章」出版社のホームページはこちら
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