異端の時代 正統のかたちを求めて 書評|森本 あんり(岩波書店)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年1月4日 / 新聞掲載日:2019年1月4日(第3271号)

「真の異端」を目指す気概を
森本あんり『異端の時代  正統のかたちを求めて』

異端の時代 正統のかたちを求めて
著 者:森本 あんり
出版社:岩波書店
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「異端の時代」と聞いてイメージされるのは、かの国の大統領でしょうか。ビジネス界、文化や学問の世界の現状を思う方もいるかもしれません。

政治をはじめ、あらゆる領域で、これまで当然とされてきたルールや慣行が通じなくなり、既存の組織や識者、職能集団への信頼も失われつつあります。人々の不信・反発をバネに、権威に挑戦する反知性主義が台頭しているけれども、それがこのまま社会のなかで膨らみつづけたとき、どんな未来が私たちを待っているのか。「正統」が息を吹き返すことはもうあり得ないのか――著者が十年来、探求してきた問いが、新書として形になりました。

丸山眞男の正統論をふまえて初期キリスト教史を辿りなおす前半部分では、「異端」とはどのように生まれるのか、一般的なイメージを大きく覆すメカニズムが明らかにされます。その議論が後半、現代民主主義の混迷に関する分析へと接続するダイナミックな展開が、本書の読みどころの一つと思います。

肝に銘じたい一文や、ときに痛烈な皮肉が織り込まれた筆致もロングセラーをささえる魅力で、なかでも「なんちゃって異端」という表現に心をつかまれた読者・評者の方は少なくないようです。

正統がぐらつくなかで現れた「異端だらけの時代」。しかし実は、正統の消失は、異端の変質、劣化をももたらすという、両者の意外な関係性も解き明かされています。

年末年始、「真の異端」を目ざす気概をもつにあたって、ぜひおすすめしたい一冊です。
この記事の中でご紹介した本
異端の時代 正統のかたちを求めて/岩波書店
異端の時代 正統のかたちを求めて
著 者:森本 あんり
出版社:岩波書店
以下のオンライン書店でご購入できます
「異端の時代 正統のかたちを求めて」出版社のホームページはこちら
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