シニア鉄道旅のすすめ / 6358(平凡社)シニア世代こそ自分流の鉄道旅を 見知らぬ人との出会いが人生を豊かにする|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年1月3日 / 新聞掲載日:2019年1月4日(第3271号)

シニア世代こそ自分流の鉄道旅を
見知らぬ人との出会いが人生を豊かにする

シニア鉄道旅のすすめ
著 者:野田 隆
出版社:平凡社
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 幼少の頃、生家の近くを走る蒸気機関車を毎日眺めて育ち、生まれながらの鉄っちゃんを自称する身なので、鉄道には何の抵抗感もなく、長年楽しんできた。挙句の果てには、堅気の商売を定年前にやめ、鉄道旅行を生活の糧としてしまった。列車や電車に乗れば、それが通勤路線であろうとローカル線であろうと何らかの楽しみを見出して、乗車時間の長さなどは全く気にならない。我ながらおめでたい人生だと思う。

ところが、世の中の大方の人はそうではないらしい。長年の電車通勤や慌ただしい出張の悪夢があるためか、鉄道に乗って楽しむなどあり得ないという人は意外に多いようだ。旅は飛行機やクルマばかりで鉄道旅行は眼中にない。しかし、定年後、時間をもてあまし、気ままな旅でもしようかと思っているうちに、歳とともにクルマの運転は苦痛になってきたという話を最近よく聞く。駅や電車内の広告でリーズナブルなシニア対象のきっぷのことを知り、鉄道旅行を試みるのだが、不慣れなこともあるし、どこへ行っていいのか分からないこともしばしばだ。話題のローカル線に乗ってみたものの、選んだ列車が悪かったのか、通勤電車のような車両に当たってしまった上、混んでいるし、車窓は楽しめないしとがっかりして帰ってきたという話も珍しくはない。

そんな人たちのために、きっぷの上手い使い方をはじめとして、乗って楽しい観光列車の数々を紹介しつつ、鉄道旅行の魅力と楽しみ方を指南したのが『シニア鉄道旅のすすめ』(平凡社新書)である。

それにしても、いつの間にか観光列車という特別仕様の列車が何と増えたことか。懐かしのSL列車をはじめ、絶景を堪能できる展望スペースのある車両、車内に足湯やギャラリーを設置したユニークな車両まで登場した。ゆったりと車内でコース料理を味わったり、地酒を飲める列車もある。お値段も格安なものから目が飛び出るほど高価な豪華列車まで千差万別、ひとつひとつ乗りつぶしていくだけで何年も楽しめるであろう。

列車は公共の場であるから、見知らぬ人との出会いもあり、これは人生を豊かにする。また、夫婦で旅することもあろうが、密室となるマイカーの中では、ささいなことからけんかも絶えないという愚痴を聞いたこともある。しかし、他人の目が気になる列車内では、意外におだやかに過せるという。緊張を余儀なくされる運転から解放されることで、ゆとりある時間の流れに身を任せられるからかもしれない。列車の揺れを楽しみつつ、ボーっとお酒でも飲みながら、過せばよいので気が楽だ。

本書を参考にしつつ、乗車を繰り返すうちに自分流の鉄道旅ができるようになったらしめたもの。大いに余暇を楽しんでほしいと思う。
この記事の中でご紹介した本
シニア鉄道旅のすすめ/平凡社
シニア鉄道旅のすすめ
著 者:野田 隆
出版社:平凡社
以下のオンライン書店でご購入できます
「シニア鉄道旅のすすめ」出版社のホームページはこちら
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