第 40 回 サントリー学芸賞 贈呈式|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2018年12月28日 / 新聞掲載日:2018年12月28日(第3271号)

第 40 回 サントリー学芸賞 贈呈式

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後列左から真鍋氏、溝井氏、島田氏、新居氏、山本氏 前列左から阿南氏、君塚氏、鳥井信吾氏、韓氏、京谷氏
12月10日、第40回サントリー学芸賞の贈呈式が行われた。本年は[政治・経済部門]に阿南友亮『中国はなぜ軍拡を続けるのか』(新潮社)、君塚直隆『立憲君主制の現在—日本人は「象徴天皇」を維持できるか』(新潮社)、韓載香『パチンコ産業史—周縁経済から巨大市場へ』(名古屋大学出版会)、[芸術・文学部門]に京谷啓徳『凱旋門と活人画の風俗史—儚きスペクタクルの力』(講談社)、真鍋昌賢『浪花節 流動する語り芸—演者と聴衆の近代』(せりか書房)、[社会・風俗部門]に溝井裕一『水族館の文化史—ひと・動物・モノがおりなす魔術的世界』(勉誠出版)、[思想・歴史部門]に島田英明『歴史と永遠—江戸後期の思想水脈』(岩波書店)、新居洋子『イエズス会士と普遍の帝国—在華宣教師による文明の翻訳』(名古屋大学出版会)、山本芳久『トマス・アクィナス 理性と神秘』(岩波書店)がそれぞれ受賞した。受賞者のコメントは以下の通り。

阿南氏「中国は国際社会では依然として躍進を続けているように見えますが、国内を見ると政治と経済に矛盾が生じています。その矛盾の構造をなるべくストレートに伝える気持ちで執筆しました。賞をいただき勇気づけられました。今後も中国政治の研究に邁進しつつ、その成果を社会に向けて発信していく所存です」。

君塚氏は今回の受賞者で最年長であることに触れ、「数年前に芥川賞受賞者が、一九八三年に大女優のシャーリー・マクレーンがオスカーを獲ったスピーチの最後の言葉を引用し〈もらって当然だわ、という気持ちだ〉とおっしゃいました。私は同じスピーチで涙ながらに言った最初の言葉〈私の芸歴はこの賞と同じぐらい長い〉という気持ちです。これからも頑張りますので、皆様から叱咤激励をいただければ」と挨拶した。

韓氏は緊張しながら「この度の評価は研究の節目とも重なり、今後何をすべきか真剣に向き合う機会となりました。出版の後は全力疾走でこのテーマから逃げていました。その足を止めたという意味で、この受賞は新たな試練の始まりです。外国人に見えてくる世界を、これまではたくさんの方に導かれて無意識に注目してきました。この受賞は無自覚から自覚への脱皮を意識させる出来事でした。無意識が意識に変わる瞬間、まさに今日という日が新たな道に踏み出す転換点になるかもしれません」と述べた。

京谷氏「二つの見世物の歴史を綴った著作で前半は話が堅いのですが、中程から軟らかくなり額縁ショーの話で終わります。私の表の専門は西洋美術史を研究していますが裏の専門として近代芸能史も関心を持っています。今回の著作は一見相容れない二つの関心を結びつけるような仕事で、それを評価していただけて大変うれしいです。栄誉ある賞でお墨付きをもらったので積極的に近代芸能史の研究をしていきます」。

真鍋氏は「本の中で重要な資料となったのはSPレコードです。持っていたコレクターの方が亡くなった後、何とかこれを外に開く資源にできないかということで国際日本文化研究センターに寄贈しました。パブリックなアーカイブとプライベートなコレクションがどのように幸せな関係を結ぶことができるのかを考えなければいけない。大衆文化の資料は市井のコレクターが集めた資料で魅力的なものがたくさん眠っています。どういう形でそれを継いでいけるかを考えていきたい」と新たな目標を語った。

溝井氏は執筆に苦労も多かったと振り返り「書き上げた後は評価を聞かないようにしていたのですが、秋になって受賞の知らせを受けました。学際的な立場から人と動物の共生を考えるアプローチを強力に後押ししていただいたと信じて一層興味深い研究を勧めたい」と述べた。

島田氏「江戸時代の知識人たちが自分の作品を世に送るにあたってこれで普及になるという熱意は大事ではないかと思いながら私も本を書きました。真剣さや熱意を持ち続けて自分自身の学芸に精進してまいります」。

新居氏「私は生涯の半分くらいをピアノ演奏のプロになるための訓練をして生きてきました。音楽は演奏しながら響きの一つひとつに引きずられながら次の音を紡いでいく、演奏をしながら考えるところがあります。私の研究方法に通じていて、一つひとつの資料を読んで、その引力に引きずられながら次の段階に行く感じです。資料に引きずられながら博論を仕上げ、それを本にする時にこれまでと違うエネルギーが必要なことを痛感し、人生のすべてを掛けないと本は書けないと思いました」。

山本氏は「日本ではスコラ哲学は一般には馴染みの薄い分野で、私の書籍が初めての新書になります。『広辞苑』で〈スコラ的〉と引くと、〈議論が煩瑣で無用なこと〉と書かれています。二十年前に知った時はショックを受けました。同時にスコラ哲学の明晰さと我々の人生に与えてくれる洞察の豊かさを多くの方に伝えたい思いが強く湧き上がりました。『広辞苑』が私を発奮させてくれました」と岩波書店への感謝をユーモアを交えながら語った。
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