『ダンシング・マザー』(文藝春秋)刊行記念 内田春菊さんロングインタビュ― 母との訣別|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年1月11日 / 新聞掲載日:2019年1月11日(第3272号)

『ダンシング・マザー』(文藝春秋)刊行記念
内田春菊さんロングインタビュ― 母との訣別

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第3回
『ファザーファッカー』からのはじまり

内田 春菊さん
――内田さんのほかの小説や漫画作品でも、ご自身の体験を表現を変えながら書いておられます。それはご自身にとって辛い作業になるのではないでしょうか。書くことで客観的に受けとめられるのでしょうか。
内田 
 書くこともそうですが、私はよく人に話していたんです。話してその反応を溜めておくみたいな感じで、それがいよいよ文章になった。書くことって全部治療になっていると思いますね。『私に依存しないでください』(竹書房)という漫画でも、実父のことを描いていて、担当さんが「内田さんはなんか一言ぐらいでツルッとすごいこと書きますよね」と言うのですが、あなたが書けって言ってるんですよねと(笑)。 『ファザーファッカー』で書いた話もよく人に話していたんです。人に話してどうもそれを踏み絵としていたような節があって。それで何か酷いことを言うような男の人とは付き合いたくないじゃないですか。だから言ってみて、反応によってその人と付き合うのをやめるとか、同情してくれたらラッキーで優しい人だから付き合おうみたいな、そういうことに使っていたような気がします。その話をして「よくある話じゃん」と言われて踵を返して帰ったこともありますよ。そんなこと言う人と付き合えないですよね。でも役者もやるようになってから羨ましがられるようになっちゃって、「そういう経験してたらいい芝居ができるだろうね」とか言われて、いやそれは違うんじゃないだろうかと。仕事を始めてからはあまり人に話すこともなくなって、私のペンネームをつけてくれた名付け親の秋山道男さん(故人、二〇一八年九月十九日死去)にも話したことがなかったんです。本が出る前に、自分の生い立ちを小説に書いていてこら、「へえ!」みたいな感じで「その小説、オレにくれ。映画にするから」と。「ああ、どうぞどうぞ」みたいな感じで、映画「ファザーファッカー」(荒戸源次郎監督、中村麻美主演、九五年公開)ではプロデューサーだけでなく養父役で出演もしてくれました。出版前にも秋山さんは、「それは『マドンナの真実』(九二年、福武書店)より売れる。七万部は売れる」と言ってくれていたんです。『ファザーファッカー』の初版は七〇〇〇部でしたが、おかげさまでベストセラーになって、予想外のことでした。私としては生い立ちの似た人がこっそり読むみたいなイメージだったんです。初小説で小説の世界のことは全くわからなかったのですが、担当さんが初版七〇〇〇部を獲得するのにすごく苦しんだと、最初の部数会議のことはとても内田さんにご報告できませんと言っていました。その頃私は漫画で一万〜三万部くらいはかろうじて売れるようになっていたので、漫画とは全然違う世界なんだなと思いました。
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この記事の中でご紹介した本
ダンシング・マザー/文藝春秋
ダンシング・マザー
著 者:内田 春菊
出版社:文藝春秋
以下のオンライン書店でご購入できます
ファザーファッカー/文藝春秋
ファザーファッカー
著 者:内田 春菊
出版社:文藝春秋
以下のオンライン書店でご購入できます
「ファザーファッカー」出版社のホームページはこちら
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