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更新日:2019年1月11日 / 新聞掲載日:2019年1月11日(第3272号)

台湾客家文学フェア 高橋真麻さん、客家文化振興大使に就任 記者発表会レポート

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写真中央=高橋真麻さんは台湾の伝統的な<春聯(しゅんれん)>で「平穏無事」と新年の抱負を発表した
2018年12月15日、千代田区大手町・KDDIホールで台湾客家文学フェア記者発表会が開催された。この、日本初の開催となる台湾客家文学フェアは、2018年6月から7月にかけて出版された客家文学日本翻訳版5冊の刊行を記念して開催されたもので、発表会では台湾駐日副代表・郭仲熙(カク・チュウキ)氏の挨拶に続き、台湾客家委員会副主任委員・范佐銘(ハン・サメイ)氏から日本における客家文化振興のための客家文学フェア実施の要旨が次のように説明された。「台湾発の客家文学とは、台湾という故郷に根付いた地方色豊かなそしてロマンチックな文学である。このような客家文学をいかにグローバルに展開し、世界の文学シーンに接続し、自分たちの声を届けるかというのが私たち客家委員会のミッションであり、これまでたくさんの客家文学を翻訳してPR活動に尽力してきた。翻訳を介して文化の種を広め、これまで知られてこなかった客家の異なるジェネレーションの作家の作品もお届けして、そのスピリッツを感じていただきたい」。

今回のフェアでは、客家文学を代表する客家の作家たちが来日。『利玉芳詩選』(未知谷)の利玉芳(リ・ギョクホウ)氏、『冬将軍が来た夏』(白水社)の甘耀明(カン・ヤオミン)氏、『藍彩霞の春 客家文学的珠玉2』(未知谷)の李喬(リ・キョウ)氏の代理として次女の李舒亭(リ・ショテイ)氏が登壇した。
利 玉芳氏
利玉芳氏は、「私は故郷の山や川といった自然、そしてきょうだいや家族をテーマに描いた作品が多いが、今回翻訳刊行された詩選はこれまでの集大成。私は台湾人でありながらも客家籍の女性客家詩人で、私が書いている言葉は客家語である。しかし客家語による詩作は少なくてこれまであまり紹介されてこなかった。しかし、今回翻訳の過程で何度もメールをやり取りし、翻訳者の真摯な姿勢に感動した」とし、日本と台湾の関係者の尽力あってこのようなシリーズが世に送り出されたことに感謝していると述べた。
甘 耀明氏
甘耀明氏は、「言うまでもなく私は客家人で客家の文化・伝統を継承する一文化人。客家という由緒歴史のある文学・歴史・文化資産を私たちが大切に受け継いできた。今回は私たちの文学を紹介するだけでなく日本の優れた文学も台湾に紹介したい。そういった相互交流が叶うことが重要である」と、日本も台湾客家文化も一番! と笑顔で会場にアピールした。

李喬氏の次女の李舒亭氏は、「今回は父の代理として姉とともに来日した。日本の文学界文化界のみなさまと交流して御礼を申し上げたい」と挨拶し、「台湾が連綿と今に至れるのは、その存続があるのは、李喬という人が文学作品と文学に人生を捧げたからである。今回の小説がどういう小説であるかというと、李喬が台湾を愛したひとつの手段、表現である。そして、その手段というのは反抗なのである。反抗は愛であると彼はうたっていて、作品の軸となる精神である」と、その作品が紹介され、台湾の李喬氏による力強いビデオメッセージが会場に流れた。
続いてスペシャルゲストとして、台湾客家文化振興大使に任命されたアナウンサーの高橋真麻氏が客家の伝統布「客家花布」の柄を手描友禅で再現した着物姿で登場。台湾客家委員会副主任委員・范佐銘氏より客家文化振興大使任命証が手渡された。そして、就任最初の仕事として、曾貴海作「美」、利玉芳作「煙がもうもう」の二編の詩の朗読が日本語で行なわれた。

最後に高橋氏、利玉芳氏、甘耀明氏によるトークセッションが行なわれ、記者発表会が終了した。
■台湾客家文学フェア対象作品

▽鍾肇政(ショウ・チョウセイ)『ゲーテ激情の書 客家文学的珠玉1』(未知谷)

「台湾文学の母」と尊称される著者が敬愛する、ドイツの詩人ゲーテの少年期から老年に至る親密で激烈で純真な永遠の女性像を描く、読む者の胸を熱くするラブストーリー。

▽李喬(リ・キョウ)『藍彩霞の春 客家文学的珠玉2』(未知谷)

小説家であり評論家でもある著者の理論「反抗の哲学」を物語化した大作。少女売春を描き、最後に恃み得るのは自分自身でしかないと強く主張。

▽曾貴海(ソウ・キカイ)『曾貴海詩選 客家文学的珠玉3(未知谷)

医師であり、文学雑誌『文学界』『台湾文学』を創刊した詩人であり、環境保護を訴える社会運動家である著者の現代詩と客家詩の中から、代表的な作品を十余の詩集から厳選網羅。

▽利玉芳(リ・ギョクホウ)『利玉芳詩選 客家文学的珠玉4』(未知谷)

詩、エッセイ、児童文学など多岐に渡って活躍、呉濁流文学賞、陳秀喜詩賞を受賞した現代を代表する女性客家詩人の現代詩と客家詩の中から、代表的作品113篇を収録。

▽甘耀明(カン・ヤオミン)『冬将軍が来た夏』(白水社)

レイプ事件で深く傷ついた私のもとに、突然現れた終活中の祖母と5人の老女。台中を舞台に繰り広げられる、ひと夏の愛と再生の物語。
この記事の中でご紹介した本
利玉芳詩選/未知谷
利玉芳詩選
著 者:利 玉芳、池上 貞子
出版社:未知谷
以下のオンライン書店でご購入できます
冬将軍が来た夏/白水社
冬将軍が来た夏
著 者:甘 耀明
翻訳者:白水 紀子
出版社:白水社
以下のオンライン書店でご購入できます
「冬将軍が来た夏」出版社のホームページはこちら
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