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漢字点心
更新日:2016年11月18日 / 新聞掲載日:2016年11月18日(第3165号)

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神の都に見まごうばかりに壮麗な王都、バブルクンド。しかし、ある三日月の夜、その繁栄は終わりを告げる。発狂した王が三日月を追って、砂漠の果てへと消えたのだ。王が戻ったとき、王都は砂の中に朽ち果てていたという。

稲垣足穂の『黄漠奇聞』である。その終わり近くで、足穂は、かつての王都のようすを、「輪奐(りんかん)をきわめた高塔と円屋根と城壁」と表現している。「輪奐」とは、見たことも聞いたこともないことばだ。

辞書を調べると、建築の壮大なようすを表す、とある。「輪」は、城壁がくねくねと連なるという意味合いか。一方、「奐」といえばすぐに思い浮かぶのは「交換」だが、「わめく」と訓読みする「喚」や、「才気煥発」の「煥」にも含まれていて、勢いがよいというイメージもある。「輪奐」も、そんなふうに解釈すればよいのだろうか。

ともあれ、昔の作家はよく漢字を知っていたものだと、改めて畏れ入った次第である。
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