第三十四回梓会出版文化賞 第十五回出版梓会新聞社学芸文化賞 贈呈式|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年2月1日 / 新聞掲載日:2019年2月1日(第3275号)

第三十四回梓会出版文化賞 第十五回出版梓会新聞社学芸文化賞 贈呈式

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前列左から松本氏、和田氏、一人おいて立川氏、池宮氏と選考委員、受賞出版社の社員の皆さん

第三十四回梓会出版文化賞と第十五回出版梓会新聞社学芸文化賞の贈呈式が、一月十六日、東京・一ツ橋の如水会館で行われた。出版文化賞は作品社が、同特別賞はひつじ書房が受賞した。また新聞社学芸文化賞は亜紀書房が、同特別賞はボーダーインクがそれぞれ受賞した。
受賞出版社挨拶で、作品社の代表取締役社長・和田肇氏は「当社は一月一〇日をもって創業四〇周年を迎えました。当社は零細出版社で、十人以上の正社員を抱えたことはありません。少数精鋭で、それぞれが好きな道を探究してやってまいりました。順風漫歩に時が過ぎたわけではありません。創業当初より苦難の連続で、行ってみれば「執念の四十周年」、「四十執念」でございます(笑)。私が出版業界に入りました 昭和三十年ごろ、出版は水物で、右も左もない。エログロナンセンスからサルトルまで、という教示を受けました。その頃は中小出版は、銀行の借入などはできない、一つの企画を失敗すれば倒産してしまう、という時代でありました。おかげさまで当社も約千七百点余の企画を刊行してきました。どんな分野のものにつきましても、エッジの効いた世に問う芯があれば、刊行するという考えでやってまいりました。出版不況と言われますが、もともと出版は経済に直接左右するようなものではありません。人間の思想、生き方を追究する営為だと考えます。その業界に誇りを持ちたいと思います」と話した。
ひつじ書房代表取締役社長・松本功氏は「日本語研究というジャンルの中でも、言語学の研究書を刊行する学術出版社です。言語学は、人文科学の基礎と言われますが、実際にはかなりマイナーなジャンルです。一九九〇年にわたくしが創業し、この二月に二九周年になりますが、よく持ってきたというのが正直な気持ちです。一九九〇年という年は、前年にベルリンの壁が壊れ、またその後バブルが崩壊するという、端境期でした。その一〇年ぐらい前から、日本の経済が絶好調で、たくさんの留学生がやってきました。日本語の研究は伝統的には国語学というジャンルがありましたが、どちらかというと古典語を研究する分野として、外国人に日本語の仕組みを教えるというようなことはあまり得意ではなかった。それが、国語学から日本語学に研究が生まれ変われる、そういう時期でした。ひつじ書房の名は、チョムスキーという言語学者が、自分の研究を世に出したいと思ったときに、アメリカの出版社はそれを出さなかった。オランダのムートンという名の出版社が出しました。ムートンは、羊です。そこから名をとり、価値があるけれど今まで出ていなかったものを出す、という出版社になりたい、と。皆がすぐに納得することではなく、これから先に大事になると思われることを応援することが、重要ではないかと思います。受賞を機にいっそう、言語学というジャンルが活性化するように、出版活動を頑張っていきたいと思います」
また亜紀書房代表取締役・立川勝得氏は「亜紀書房は一九六七年にアジアの世紀が来る、という理念の下にスタートした出版社です。今はアジアから、遥かにいろいろなジャンルに手を広げております。すっかり編集部が新しくなり、ちょうど去年が五年目にかかったところです。また去年、亜紀書房は五〇周年を迎えました。今年の一〇月に消費税が一〇%に上がります。相当な向かい風だと覚悟しています。消費税増税をどう乗り越えていくかに、おそらく出版業界の明日がかかっていると自覚して、腹の下に力を入れて、皆で協力して乗り切っていきましょう」
ボーダーインク代表取締役社長・池宮紀子氏は「ボーダーインクも一九九〇年創業ですので、今年三〇年目を迎えます。操業当時の沖縄の出版界は、歴史関係、自然関係などの出版物が多かったのですが、もっと違った切り口の沖縄の本を出したいと。現在、スタッフは私含めて五人の会社です。私たちの出版物はほぼ九〇%、沖縄県内で販売しています。ジャンルにこだわるのではなく、沖縄にこだわって刊行しています。現在の沖縄をフォローしているという点も評価して頂いたのですが、確かに私たちは沖縄に暮らし、沖縄に必要なこと、沖縄の人が知りたいこと、沖縄以外に発信したことについて出版を続けています。現在五〇〇点程出版しているのですが、一四五万人弱の沖縄県民が、私たちの本をこれだけ買ってくれているというのは、すごいことだと思っています。地域で作っているというのは読者が近いということです。一方、県外への発信も、ますます頑張っていきたいと思います」と語った。

受賞対象作品は、作品社は田川健三訳著『新約聖書』全八冊、ヘイドン・ホワイト著、岩崎稔監訳『メタヒストリー』など、ひつじ書房は真田信治監修『関西弁事典』、ロング『小笠原諸島の混合言語の歴史と構造』など。

亜紀書房は石戸諭著『リスクと生きる、死者と生きる』、若松英輔著『常世の花 石牟礼道子』など、ボーダーインクは、稲福政斉著『御願の道具と供えもの事典』、与那原恵『帰る家もなく』など。
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