連載 映画作家による舞台作品 ジャン・ドゥーシェ氏に聞く 93|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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ジャン・ドゥーシェ氏に聞く「映画/映画作家/映画批評」
更新日:2019年2月12日 / 新聞掲載日:2019年2月8日(第3276号)

連載 映画作家による舞台作品 ジャン・ドゥーシェ氏に聞く 93

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1965年頃のドゥーシェ
HK 
 ルイ・ジューヴェが画面にいること自体に反対しているわけではありません。ものすごい存在感を持ち、いい俳優だと思います。しかし一度話し出すと、いつも通りのルイ・ジューヴェしか目につかなくなります。
JD 
 私は、ジューヴェの演技を実際に何度か目にしています。
HK 
 彼は劇場の方が、板についていたのではないですか。
JD 
 劇場では、彼は制約なく、偉大な俳優を演じることができました。私は、18歳でパリに着いた時(1948年)から、ジューヴェが死ぬ1951年までに、何度も劇場で見ることがありましたが、劇場向きのいい俳優だったと記憶しています。
HK 
 ドゥーシェさんは、もともとシネフィルになる前は、演劇によく足を運んでいたのですよね。
JD 
 そうです。私は、子供の頃から、大人たちにまざり、半ズボン姿で、ひとりで劇場に通っていました。周囲の大人たちが、不思議そうな顔をしていたのを今でも覚えています(笑)。
HK 
 ところで、ヴィスコンティの舞台は観られたことはありますか。

JD 当然、観たことがあります。
HK 
 彼の舞台演出はどのようなものだったのでしょうか。映画と比較し得るものだったのですか。
JD 
 私の観たヴィスコンティの舞台の大半は、シャトレ座で上演されたものだったと思います。それも、イタリアの古典演劇の演出が多かったはずです。記憶に残っているものでは、ゴルディーニの舞台があります。イタリアの最も重要な劇作家です。同様にピランデルロの上演も行なっていました。ゴルディーニは18世紀の最重要劇作家ですが、ピランデルロは19世紀の劇作家です。なので、私の知っているヴィスコンティの舞台演出は、古典の演出ということになります。
HK 
 僕は、イタリアの古典演劇については応えることができません。

JD イタリアの古典演劇を知るのも重要なことです。ピランデルロは19世紀の作家なので、フェドーと同世代の作家です。
HK 
 ヴィスコンティの舞台における演出はいかがだったのですか。ヴィスコンティの映画と関わりのあるようなものだったのでしょうか。
JD 
 私の観たものに限って言えば、非常に質の高い古典的演出でした。ゴルディーニのような作家に対しては、古典的演出が非常に効果的なのも事実です。
HK 
 現代的な演出を試みたようなことはなかったのですね。
JD 
 当然、古典だけでなく現代の舞台も演出していたはずです。私も全ての舞台を見ることができたわけではありません。彼は、イタリア語を母語とするので、大半の舞台はイタリア語で行われていました。
HK 
 僕の知っているものでは、アラン・ドロンとロミー・シュナイダー主演のジョン・フォード(劇作家)、チェーコフ、サルトル、コクトー、ゲーテなどがあります。しかし非常に残念なことに、ヴィスコンティによる舞台は、今日では全くと言っていいほど観ることができなくなっています。それでも、ヴィスコンティによるオペラが、映像として一つだけ残っていたという話を耳にしました。ここ最近僕が観たい映像の筆頭です。
JD 
 どの作品ですか。
HK 
 簡単に観ることができるものではないので、詳細までは知らないのですが、中編くらいの尺の映像が残っているようです。
JD 
 ヴィスコンティくらいの作家であれば、残っていても不思議ではありません。彼は、映画作品よりも多くの舞台演出とオペラ演出を行なっていた作家です。
HK 
 マリア・カラスあたりの演出もしていますよね。
JD 
 それだけではなく、当時の最も偉大な歌手たちと仕事をしていました。
HK 
 その意味で、ヴィスコンティもファスビンダーのように、映画作家の枠には収まらない作家だったのですよね。
JD 
 その通り。ヴィスコンティは偉大な作家だったのです。
〈次号につづく〉
(聞き手=久保宏樹/写真提供=シネマテーク・ブルゴーニュ)
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