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更新日:2019年2月12日
/ 新聞掲載日:2019年2月8日(第3276号)
『反転する福祉国家 オランダモデルの光と影』 水島治郎著
市民に就労と社会参加を促す福祉政策をめざしてきたオランダでも、国民保険の導入や保育サービスの拡充が遅れ、既婚女性の労働が法律で禁止されていたことがあった。
パートタイム労働や休暇制度を充実させながらも、あらかじめ労働市場に参入できていた人たちとそれ以外の「移民」との選別を着実に進めていた。「市民参加」の定義が変容し、モノからサービスへと経済の重心が移る「脱工業化」の流れのなかで、労働者に自国語や自文化への理解を要請する一方で、その資質のない者を除外していく。
その緻密な分析を通して浮かび上がるのは世界に蔓延する排外主義と日本の現状でもある。本質的な問題に向き合う著者の誠実な姿勢には学ぶところが多い。(二八二頁・一三四〇円・岩波現代文庫)
パートタイム労働や休暇制度を充実させながらも、あらかじめ労働市場に参入できていた人たちとそれ以外の「移民」との選別を着実に進めていた。「市民参加」の定義が変容し、モノからサービスへと経済の重心が移る「脱工業化」の流れのなかで、労働者に自国語や自文化への理解を要請する一方で、その資質のない者を除外していく。
その緻密な分析を通して浮かび上がるのは世界に蔓延する排外主義と日本の現状でもある。本質的な問題に向き合う著者の誠実な姿勢には学ぶところが多い。(二八二頁・一三四〇円・岩波現代文庫)
この記事の中でご紹介した本
「反転する福祉国家 オランダモデルの光と影」出版社のホームページはこちら

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