雪の予報は外れ、雨が降っていた。|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年2月15日 / 新聞掲載日:2019年2月18日(第3277号)

雪の予報は外れ、雨が降っていた。

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雪の予報は外れ、雨が降っていた。
子どもの頃、近所の子が「宝石って土の中に埋まっているらしいよ」と言い、暗くなるまで二人で公園の地面を掘りつづけた。あのキラキラした宝石がそのまま土の中から見つかるという想像――単なる無知により造成地を掘りつづけた、あの日のワクワクした興奮と心地よい疲れ、日が落ちていく焦りに似た思いを、いまでも覚えている。そこには何もなくて全てがあった。
(そんな思い出と重ねるのも何だが)本というものにも、何もなくて全てがあると思う。見方によっては場ふさぎな物体でしかないが、受け取る人によっては、あまねく時空が詰まっている。世界と切り離された(かの)孤独な人間を、時空を超えさせて、どこかの誰かと繫げさえする。本を読むことで、誰かの知を体に入れ、私たちは生きていく。これからどれだけワクワクしながら本を読んでいけるだろうか。この世界を生きていけるだろうか。小林さん中島さんお二人のお話に、あの幼い日、「宝石は土の中に埋まっている」と聞いたときのように、本当にワクワクし喜びをいただいた雨の夜だった。(S)
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