第6回 潮ノンフィクション賞決定 第8回 パンプキンエッセー大賞 贈賞式開催|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年2月22日 / 新聞掲載日:-0001年11月30日(第3278号)

第6回 潮ノンフィクション賞決定 第8回 パンプキンエッセー大賞 贈賞式開催

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前列左から、受賞者の井川實、松浦千春、渡辺恵子、鈴木恵子、松前陽子、小村一左美の六氏と選考委員一同
2月8日、東京・飯田橋のホテルメトロポリタンエドモントで第6回潮ノンフィクション賞と第8回パンプキンエッセー大賞の贈賞式が行われた。

潮ノンフィクション賞は小村一左美「最良の逝き方の選択 決定権はあなたの手中に」と松前陽子「トルーマン大統領の国に生きて 在米被爆者の軌跡」の2作が受賞。講評は選考委員を代表して作家の楊逸氏が述べた。

「最良の逝き方」は特別養護老人ホームに約20年間勤め、高齢者や家族と接し、医療に関する「意向確認」を実施してきた著者が、現場で見聞きした経験をもとに、高齢者本人の意向に沿うための医療に関する考え方や選択を事例として提供した作品である。小村氏は受賞の挨拶で「特別養護老人ホームは要介護3以上の高齢者を対象とした施設で、そこでは本人や家族が延命治療の有無や看取りに関する選択を余儀なくされます。認知症などで自己決定できない入所者に代り、親族が入所者の生命を左右する決定をくださなければならず、導いた結果が入所者の意向に沿うのであれば問題はありませんが、これらが誤ったものであるならば、親族は後日後悔の念に苛まれることになります。医療の現場や体系は一般市民にとっては未知の領域といえる。だからこそ私が特別養護老人ホームで体験した理不尽な事象を明らかにし、その上で正当な判断をしていただきたいのです」と語った。

「トルーマン大統領の国に生きて」は戦前来日した日系人やその子ども、配偶者らが第二次大戦の原爆投下で被爆し、戦後、米国社会に入った在米被爆者10名の実態を取材した作品で、著者の松前氏は「私は日本で在米被爆者のことを知り、渡米して被爆者を取材したのですが、彼らは日本の被爆者と大きく違っていました。それは被爆地ではなく遠方の米国に住んでいるという負い目と子どもが米国人であることへの負い目があり、取材をしても口は重たく、なかには心無い言葉をかけられたこともありました。それでも、彼ら彼女らの思いをできるだけ多くの方に伝えたいと思いましたし、あるシカゴの方が私の活動を知って「これでようやく僕は報われると思う」と言ってくださり、それが私にとっての前に進む力になりました」と受賞の言葉を述べた。

パンプキンエッセー大賞は「忘れられない人」をテーマに、多数の応募が寄せられた中から大賞に選ばれたのは鈴木恵子「特急「やくも」とメロンパン」、また選考委員賞は内館牧子賞に渡辺恵子「あわや鶏鍋」、鎌田實賞に松浦千春「恩師の言葉」、出久根達郎賞に井川實「玉ねぎじいさん」がそれぞれ受賞した。大賞を受賞した鈴木氏は「特急やくもの中で出会ったお二人にも感謝しております。心にいくら響いたとはいえ、お二人の大切な時間をこっそりと耳を澄ませて聞いてしまい、それを許しもなく文書にしてしまったことにちょっと申し訳ない気持ちもしていますが、お優しいお二人のこと、笑って許してくれることだと思います」と語り、選考委員賞の3名もそれぞれ喜びの言葉を述べた。

また、惜しまれつつも潮ノンフィクション賞とパンプキンエッセー賞の2賞が今回をもって幕を閉じることとなったことも式の中で報告された。
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