「加藤周一 青春と戦争『青春ノート』を読む」(論創社)刊行記念 渡辺 考×鷲巣 力×樋口陽一トークイベント 「青春ノートを読む!!」 (新宿・紀伊國屋書店新宿本店九階イベントスペース)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年2月22日 / 新聞掲載日:2019年2月22日(第3278号)

「加藤周一 青春と戦争『青春ノート』を読む」(論創社)刊行記念
渡辺 考×鷲巣 力×樋口陽一トークイベント 「青春ノートを読む!!」
(新宿・紀伊國屋書店新宿本店九階イベントスペース)

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二月九日、『加藤周一 青春と戦争 『青春ノート』を読む』(論創社)刊行記念イベントが開催された。二〇一一年、十代の加藤周一氏が開戦まで書き続けた「幻のノート」の存在が明らかになった。
〇八年に亡くなった加藤の遺族から立命館大学に寄託された資料の中から、八冊の大学ノートが発見されたのだ。
一五年秋、この新資料の存在を知ったNHKディレクターの渡辺考氏は京都に向かった。そして一六年夏、「加藤周一 その青春と戦争」というドキュメンタリー番組が放映された。本書はこの番組に基づき、加藤にとっての戦争、そして著作との関係を示すものとして刊行。
本書では、加藤と深い交流を持った関係者らの発言を含めて、現代に加藤の著作と思考の軌跡、さらに「戦争の時代」を問う。
イベントでは、憲法学者の樋口陽一氏をお迎えし、編著者の渡辺考氏、鷲巣力氏の三人が登壇。それぞれの思いを交え、加藤周一について語り合った。その一部をレポートする。 (編集部)
第1回
「青春ノート」加藤周一と二つの日付け

左から、鷲巣力氏、樋口陽一氏、渡辺考氏

憲法学者の樋口陽一氏は本書の感想を、「九人の学生が加藤周一に対面し、かつ自分の考えを率直に出してくれたことに感銘を受けた」と述べ、本書のテーマである「青春と戦争」について、一九四一年十二月八日と一九四五年八月十五日という二つの日付けを経験した人間として、自身の受けとめ方と「青春ノート」を通して加藤周一氏がこの二つの日付けとどう向き合ったのかをお話ししたいとして、次のように語った。

「一九四一年十二月八日、私は七歳だった。尋常小学校から国民学校という風に名前が変わった小学校に通っていて、突然大変なことが始まったと思った。なぜ突然かというとそれ以前の数年間は七歳の子どもにとって平和な時代で、その十年前の一九三一年には日本の公然たる大陸侵略、満州事変が始まっていたわけだが、しかし普通の家庭にとって戦争は余所事だった。子どもの頃に講談社の絵本を親が買ってくれていてそれで見るアメリカというのは途方もない国だということは七歳だって分かっていた。「英米両国と戦闘状態に入れり」というニュースを聞いた瞬間の膝が震えるような不安を、今も私は覚えている。

それに対して加藤さんは一九四一年には東京帝国大学医学部の大学生で二二歳だった。それだけではなく仏文の教室にも通われていてヨーロッパの第一次世界大戦以降のアクチュアルな部分をフォローできる状況にあった。しかも東大医学部に入る前の旧制一高時代のいろんなエピソードがあって、「青春ノート」はその貴重な証言になっている。加藤さんは十二月八日の頁の一番最初にフランス語で「Enfin la guerre(ついに戦争来たる)」と綴っている。その一方で一転して「晴れた冬の空、美しい女の足」と書かれていて、やがてB29が東京の空を思うがままに蹂躙するわけで、結果的に見ると「晴れた冬の空」というのは驚くべき暗示、直感力に思える。恐るべき加藤さんの感性のあらわれで、これが加藤さんの十二月八日だった」。
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この記事の中でご紹介した本
加藤周一 青春と戦争『青春ノート』を読む/論創社
加藤周一 青春と戦争『青春ノート』を読む
著 者:鷲巣 力、渡辺 考
出版社:論創社
以下のオンライン書店でご購入できます
「加藤周一 青春と戦争『青春ノート』を読む」出版社のホームページはこちら
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