ぼくは、かいぶつになりたくないのに / 6540(日本評論社)全てのかいぶつたちへ こうき|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年2月26日 / 新聞掲載日:2019年2月22日(第3278号)

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こうき

ぼくは、かいぶつになりたくないのに
著 者:中村 うさぎ
イラストレーター:こうき
出版社:日本評論社
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私は数年前より、作家の伏見憲明さんが経営するバー「A Day In The Life」で働いています。今回この絵本をご執筆いただいた中村うさぎさんは、バーの常連のお客様でした。店に飾っていた私が描いたイラストを見て、中村さんは衝撃を受けたようで、私のこれまでの生い立ちを聞いてくださいました。後日、中村さんから「クラウドファンディングを利用して、生い立ちを絵本にしない?」というお話をいただきました。私が描いた絵をもっとたくさんの人たちに見てほしい…。虐待家庭の存在を身近な問題として知ってほしい…。そのような想いに突き動かされて、私の半生を絵本にしようと心に決めました。
決心したは良いものの、絵を描いている時は過去の地獄のような日々と対峙しなければなりません。私の心の中で燃え盛る怒りの炎を絵にぶつけながら作業をしたことで、精神的に辛くなる時期もありました。が、中村さんや伏見さん、バーのたくさんのお客様の暖かい言葉に支えられて、なんとか形にすることができました。

絵を描きながら実感したのは、私が「完全な」かいぶつにならずに済んだのは、幼い頃の弱い自分を必死で守ってくれた祖母の存在が大きいということ。p.8~p.9の絵は、そんな大好きな祖母との思い出をキャンバスいっぱいに描きました。
大好きな祖母との思い出を描いた8~9頁
私自身の過去が形となり、多くの方々に読んでもらい、たくさんのコメントをいただいたことで、私の中の怒りの炎が絵に乗り移り、心の中で巣食っていたかいぶつがおとなしくなったような気がします。そして、絵本を通じて虐待家庭で育った多くの方々と出会い、私自身はそのような方々に何ができるのかと、今まで以上に他人に目を向けられるようになりました。また一つ成長できたのかなと思いました。

私はこの絵本を幅広い方々に読んでいただきたいと願っています。最近も虐待家庭の事件がニュースで報じられましたが、これは遠い世界の出来事ではないと知ってほしいし、親が子供を傷つける辛い悲劇をこれ以上繰り返していかないよう、皆さんと一緒に考えていきたいです。虐待家庭とは無縁などんな人でも、心には「かいぶつ」が巣食っています。私のかいぶつの遠吠えが皆さんのかいぶつにも響いてほしいです。(こうき=イラストレーター)
この記事の中でご紹介した本
ぼくは、かいぶつになりたくないのに/日本評論社
ぼくは、かいぶつになりたくないのに
著 者:中村 うさぎ
イラストレーター:こうき
出版社:日本評論社
以下のオンライン書店でご購入できます
「ぼくは、かいぶつになりたくないのに」出版社のホームページはこちら
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