田原総一朗の取材ノート「「毎月勤労統計」不正調書問題」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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田原総一朗の取材ノート
更新日:2019年3月5日 / 新聞掲載日:2019年3月1日(第3279号)

「毎月勤労統計」不正調書問題

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厚生労働省が公表する「毎月勤労統計」の不正調書問題を再調査している有識者による特別監察委員会が、組織的隠蔽は認められないと結論付けるようである。

厚労省は二〇〇四年から、五〇〇人以上の事業所は全て調査することになっていたはずなのに、東京都内は三分の一しか抽出しないという不正調査を行なっていた。

ところが、二〇一五年九月に、官邸筋から「調査の手法を変更するように」との意向が示されて、厚労省は調査法を変更したのではないか、という疑惑が強まっている。

野党は、アベノミクスの失敗が露呈しそうなので、厚労省は、アベノミクスが成功していると見せかけるために、調査法を変更したのではないか、と強く主張している。

そして、九月一四日に、厚労省側に「調査法の変更」を求めた人物の名前が明らかになった。

当時首相秘書官であった中江元哉(現・財務省関税局長)である。

当初、中江氏は「記憶にない」を連発していたが、「発言したかもしれないが、あくまで個人的見解である」という表現に変った。

個人的見解ということは、首相や官房長官などから、何の指示も受けていない、ということである。

そして安倍首相は、国会で「もちろん何も指示していない。中江氏の発言には全く関係がない」と答えている。

だが、中江氏の発言は本人も認めていて、厚労相も認めている。そして、厚労省が調査の手法を変更したのも事実である。

それにしても、首相秘書官が、こんな重要なことを、勝手に厚労省に求めるなんてことをするだろうか。どう考えても、そんなことが生じるとは思えない。また、秘書官の個人的な求めで、厚労省が調査の手法を変えるなんてことは起き得ないであろう。

この構図は、加計学園疑惑と酷似している。

当時の首相秘書官が、獣医学部新設について、勝手に加計学園関係者や愛媛県側と話を進めていて、首相は全く知らなかったという、国民の誰もが信じられない問題である。

このような疑惑が続くことは、政府に対する国民の不信が強まるばかりである。
(たはら・そういちろう=ドキュメンタリー作家)
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