『親鸞 全挿画集』(青幻舎)刊行記念 画家・山口 晃トークショウ|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年3月1日 / 新聞掲載日:2019年3月1日(第3279号)

『親鸞 全挿画集』(青幻舎)刊行記念
画家・山口 晃トークショウ

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 2019年2月15日、東京・新宿の紀伊國屋ホールで、『親鸞 全挿画集』(青幻舎)の刊行を記念して画家・現代美術家、山口晃氏のトークショウが行われた。本書の元となっている挿画とは、2008年9月から2014年7月の期間に連載された五木寛之氏の新聞小説「親鸞」三部作のために描かれた全1052点。その全てに山口氏が書き下ろし「絵解きコメント」を付し、原画のラフプラン、描き損じ、差し替えなどが初収録された本書は圧巻の一冊となっている。今回のトークショウでは連載当時のエピソードが語られた。

連載の開始前には五木氏と比叡山を登り、「思う存分やってください」と言われた山口氏、「あの時までは幸せでした」と会場の笑いを誘った。そして連載開始予告のポスターを描いた際には、五木氏から「浄土真宗の御本尊であり、ご門徒にとって大切な言葉である南無阿弥陀仏をポスターに使ってはならない」とさっそく指摘があり、そのポスターは結局使用されなかったという。「振り返ると使われなくてよかったかな。親鸞聖人の人間性に迫りきっていないですね」と自嘲気味に語る。

全国の主要地方紙、最大40紙に配信された連載について「新聞によって(掲載時の)縦組、横組も違い
挿絵がどこに入るかも全部違いました。線の細かさ、色、画材を変えて、目が離せない挿絵にしたいと思いながら描きました。五木先生のファンも多いですが、そうではない人にとって、何事かと思わせて文章を読んでもらうためにはどうしたらいいのかを考えていました」と執筆時の苦労も。

また挿絵について「文章が奏でる物語を主旋律とすると、挿絵がそれと同じに奏でると曲になりません」と語り、「生意気なことを言うと、物語の挿絵なので作者のために挿絵を描いてはいけないと思っていました」。そして登場人物の顔を描いた時のエピソードとして「作者からすると顔は語り過ぎるので描いて欲しくないみたいですね。早い段階から五木先生に登場人物の顔はやめてほしいと言われました。その代り顔のアップや逆に引きもいい。後ろ姿もいい。だから後ろ姿がひたすら続くことになりました(笑)。五木先生の人格と小説の人格は別だから僕は小説に沿わなければいけない。だけれど小説を書く五木先生のやりづらさを焚きつけてもいけない。挿絵が無くても連載は続けることができるけれど文章が止まったらすべて止まってしまいます。それで編集さんからストップがかかったこともありました。この三回は先生の言うように描きましょう、と。それで五木先生が紙にコンテを描いて送ってきまして、それをもとに描いた絵もあって……、挿絵失格ですね(笑)。当時はプリプリしながら描きましたが、でもこういう絵が邪魔をしない絵なんだと、その加減がわかりましたし難しさもわかりました」。
「私も硬軟取り混ぜて描かせていただきましたが、よく先生が最後まで伴走を許してくれたと思います。描きながらそれまでの自分の絵の不自由さが見えて、日々自分が更新されていく感じがありました」と語りつつも、時には絵が描けなくなったこともあったという。「駄目を出されたこともあって自分の中にミニ五木先生が住みついてしまって一切描けなくなりました。また駄目出しをされるかもしれないと自分で勝手に囚われているんですね。どうやって振り払おうかと考えた時に目を瞑って描きました。すると線に力が抜けてこだわりが無くいい感じでした」。
舞台狭しと動き回り、時には物真似もまじえながら語った山口氏は会終盤に親鸞の息子・善鸞の唱導のシーン(左図)をもとにしたラップを披露し会場は拍手に包まれた。「作品集は濃ゆいので少しずつ楽しんでください。枕にもなりますし鈍器にもなります」と最後まで観客を楽しませトークショウは終了した。

(作品画像は本書より)
この記事の中でご紹介した本
親鸞 全挿画集/青幻舎
親鸞 全挿画集
著 者:山口 晃
出版社:青幻舎
以下のオンライン書店でご購入できます
「親鸞 全挿画集」出版社のホームページはこちら
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