日本の〝穴場〟探訪 〈第一回〉百留横穴墓群 田 村 収|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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日本の〝穴場〟探訪
更新日:2019年3月12日 / 新聞掲載日:2019年3月8日(第3280号)

日本の〝穴場〟探訪
〈第一回〉百留横穴墓群
田 村 収

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Ⓒ田村 収

百留横穴墓群は福岡県と大分県の県境の上毛町に存在し、町の指定文化財になっていて、この地域においては「百穴」とも呼ばれている。15年前に地域の人々によって保存会が結成され、いにしえの先祖供養とともに、保全のため定期的に清掃作業が行われているそうだ。中でもお盆の時期に行われる提灯であかりを灯す行事は、暗闇の中、横一直線に並んだ提灯が横穴墓を照らし出す様子が幻想的なのである。

お盆前の日中に下見で訪れてみると、ちょうど住人の方々が清掃作業を行っていた。地域で細々と実施していたこの行事も10年目を迎えるそうだが、町の人でさえ認知度は高くなく、県外からの来訪者は珍しいといわれた。13日の19時から3日間、提灯を点灯すると聞いたので、大分県中津市に滞在して、初日の夕刻、ホテルで借りた自転車に乗って、夕涼み感覚で出かけた。

現地に着いた頃は、まだ若干空が明るかったものの、付近は街灯も少ないせいか、次第に真っ暗闇になった。少し離れた位置から全景を望むと、提灯の灯りに照らされた横穴墓群だけが闇夜に浮き上がって見えてきた。近くの県道をたまに車が通過するくらいで周辺は虫の音以外、シンと静まり返っており、今この状景を見ているのは私一人でまさに〝穴〟場であった。ただ、虫除け対策をしてないと蚊の餌食となるのでご用心。

ここ数年、漆黒の闇に興味を持ち始め、穴から見える暗がりに、ひきこまれるように出向いてしまう。気の向くままに訪れた穴の存在する場所をいわゆる〝穴場〟と題して、今回は横穴墓群を取り上げた。次回からは横穴墓が無数に広がる異様で不思議な「百穴」を紹介していこうと思う。
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