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更新日:2019年3月15日 / 新聞掲載日:2019年3月15日(第3281号)

菊地成孔・冨永昌敬(司会=福島勲)公開トーク載録
デュラス/ゴダール対話と映画の夜
トークイベント『ディアローグ デュラス/ゴダール全対話』(読書人)をめぐって

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第2回
1979/1980/1987三つの対話

『イメージの本』4月20日よりシネスイッチ銀座ほか全国ロードショー配給:コムストック・グループ
©Casa Azul Films-Ecran Noir Productions - 2018

菊地 成孔氏
菊地 
 この本の対談ですが、デュラスは残念ながら九六年に亡くなっていますが、デュラスとゴダールは生前に三回だけ対談していて、七九年十月と翌年八〇年九月ないしは十月、それから八七年十二月。八七年というのはゴダールの映画『右側に気をつけろ』が公開された年で、この映画は端的に喜劇です。ゴダールが道化をやっていて彼は笑われたかったんですが、どんなにゴダールが笑われたくても笑ってもらえないという、非常に悲劇的な喜劇役者というか。アニエス・ヴァルダが監督した『5時から7時までのクレオ』(一九六二年)にカメオ出演したときもそうですが、相当なオーバーアクトで笑わせに来てるのに、それにさえ哲学的な意味があるのではないかと言われて笑ってもらえないという、ゴダールには笑ってもらえなかったという辛い歴史がある(笑)。その辛い歴史をこの本がやっとひっくり返すわけです。

デュラスは簡単にいうとものすごく口が悪い毒舌のおばさんでゴダールは三回対談するんですが、とにかく最初から最後までタジタジしている。ワンタームごとにゴダールがデュラスにやり込められていて、とても気持ちがいい本(笑)。表紙もすごく良い写真で、七〇年代初頭くらいだと思うのですが、四〇歳前後の若い時のゴダールとデュラスで、映画祭か何かで二人が偶然同席した時だと思うのですが、デュラスはくわえ煙草でそれにゴダールが火をつけているという、かなりヤバい写真。この写真の採用も含めて非常に素晴らしくて、この本の内容がこの写真に集約されています。
冨永 
 第一回目の対談の冒頭で、ゴダールは『勝手に逃げろ/人生』(一九八〇年)にデュラスを出演させるために呼びよせるのですが、デュラスに撮影を断られたという話から始まります。
菊地 
 『勝手に逃げろ/人生』という映画は、ゴダールの復帰第一作として知られていますが、ゴダールは一回社会主義に転向してアジビラ映画を作るわけです。それに限界を感じて一般映画に戻ってきた第一作です。セッティングまでして待ってたんだけど来てくれなかった。ゴダールは著名人を自分の映画に出すのが好きな人で、それが韓国のホン・サンス監督なんかにも受け継がれているわけですがデュラスを出そうとして逃げられた。とにかくゴダールがデュラスに打ちのめされてボコボコにされている。ゴダールだって舌鋒鋭い人で、ゴダールのスピルバーグに対する言葉の汚さなんかは有名ですが、デュラスみたいな肝の座ったおばさんが現れると全く太刀打ちできないというのが如実に現れている。フランスにはこの三つの対話のテープが全部残っていたわけですが、この本で全貌があらわになって非常に素晴らしいと思います。
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この記事の中でご紹介した本
ディアローグ デュラス/ゴダール全対話 (DURAS/GODARD DIALOGUES)/読書人
ディアローグ デュラス/ゴダール全対話 (DURAS/GODARD DIALOGUES)
著 者:マルグリッド・デュラス、ジャン=リュック・ゴダール
翻訳者:福島 勲
編集者:シリル・ベジャン、明石 健五
出版社:読書人
以下のオンライン書店でご購入できます
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