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更新日:2019年3月15日 / 新聞掲載日:2019年3月15日(第3281号)

菊地成孔・冨永昌敬(司会=福島勲)公開トーク載録
デュラス/ゴダール対話と映画の夜
トークイベント『ディアローグ デュラス/ゴダール全対話』(読書人)をめぐって

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第6回
一九八〇年の対話 同い年の姉、近親相姦

『あなたはまだ帰ってこない』2019 年2月22 日(金)よりBunkamura ル・シネマほか全国ロードショー 配給:ハーク©2017 LES FILMS DU POISSON‒CINEFRANCE‒FRANCE 3 CINEMA‒VERSUS PRODUCTION‒NEED PRODUCTIONS

菊地 
 これは知っていましたか? ゴダールには同じ一九三〇年に生まれた姉がいるという話。二回目の対話では家族構成の話が出てくるんです。二人の人生を比較するとデュラスの人生っていうのは壮絶ですよね。でもゴダールはそれ以前に子どもがいない。子どもを作らない派で、二回目の対話のメインテーマは近親相姦についてなんです。近親相姦を映画でどう描くかをずっと話すのですが、デュラスは近親相姦というテーマに対して意欲的で、近親相姦に関する逸話とか有名な物語の話をしている。それに対してゴダールは一貫して自分は子どもがいないからこそ近親相姦を映画で描けるんだと言い続ける。
冨永 
 ゴダールに同い年の姉がいるということはよく知られていることなんですか? ゴダールは自分の家庭環境とかあまり語らないですよね。
菊地 
 一般的には知られていないと思います。どんな関係かもゴダールは全く語らないし、ゴダールこそフロイディズムに対して鉄壁のディフェンスを張っている。
冨永 
 デュラスは真逆でほとんど自伝みたいな小説を書いている。
菊地 
 デュラスは私をアナライズしてくださいというような態度で生きてきた女性で、それに対してゴダールは絶対に分析させない。デュラスはむしろ分かりやす過ぎて分析できないというか、まだ奥がありそうな気がさせるのに対して、ゴダールは見え見えで本当は同い歳の姉に相当やられただろうなという気がするんです。実際、デュラスとゴダールではデュラスが十六歳年長ですが、こういう図太い毒舌な女性に対してゴダールはとにかくディフェンスにまわって全く攻撃的に話を進めない。
冨永 
 この対話も三回繰り返してるってことは、相当気持ち良かったということですよね。これだけ言ってくれる女の人がいないんでしょうね。
菊地 
 別居状態が続いているという、伴侶のアンヌ=マリー・ミエヴィルとマルグリット・デュラスだけだと思います。
冨永 
 デュラスがミエヴィルが撮った牛の写真を褒めてゴダールが喜ぶ場面もあって、人間味がすごく伝わってきます。
菊地 
 ゴダールはミソジーヌ(misogyne)的な監督だと思いますが、『勝手にしやがれ』という邦題の名タイトルをつけた秦早穂子さんという女性はゴダールと何回も会っておられますが、彼ほど女性嫌悪で女性崇拝の人はいない。日本人のまだ小娘だった私のことを怖がっていたと言っていました。浅田彰さんが、ゴダールの映画について、〝不断の半勃起状態〟という名言を残していますが、この対談がまさにそうです(笑)。
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この記事の中でご紹介した本
ディアローグ デュラス/ゴダール全対話 (DURAS/GODARD DIALOGUES)/読書人
ディアローグ デュラス/ゴダール全対話 (DURAS/GODARD DIALOGUES)
著 者:マルグリッド・デュラス、ジャン=リュック・ゴダール
翻訳者:福島 勲
編集者:シリル・ベジャン、明石 健五
出版社:読書人
以下のオンライン書店でご購入できます
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