五木寛之著『作家のおしごと』 東京堂出版より刊行|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年3月19日 / 新聞掲載日:2019年3月15日(第3281号)

五木寛之著『作家のおしごと』
東京堂出版より刊行

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五木寛之著『作家のおしごと』が東京堂出版から刊行された。四六判・324頁・本体1600円。

新聞の人生相談コーナーを読むと、細やかな回答を寄せている作家の名前がある。テレビをつけると芸能人と笑い転げている作家の姿もあり、また、難しい顔をして思索にふける写真が図書館に掲げられていたりもする。作家とはいったいどのような日常を過ごしているのだろうか? と思う読者も多いことでしょう。

この本のタイトルを見ると、「作家とはどのような思考経路を経て作品を仕上げていくのか、ということを知ることができるのかな。」と期待して手にするのかもしれません。読者は自分の嗜好する分野や世界観、文章・表現などさまざまな違いを感じながら、常日ごろ関心のある作家像を独自に描いているのかもしれません。

この本はそうした書かれ方をしたものではありません。ひたすら著者五木寛之が、過去に、そしていまこんな風にものごとに取り組んでいる、ということが書かれています。目次に眼を通すと驚くほど幅広い分野に五木は身を置いているということが分かります。対談、あそび、作詞、インタビュー、コラム執筆、講演ほか、本書の随所に五木寛之の考え方、経験、価値観などがちりばめられ、著者自身を知る本になっていると言えそうです。しかし、この本のタイトルは「作家のおしごと」です。この鍵となるのはモノローグを丁寧に読むことから掴み取ることができます。五木は自らを作家になりたいと思ったのではなく、文芸者になるつもりだった、と書いています。また、鵺的な存在でありたい、とも書いています。けっして高みからものを言い、高説を垂れるのではなく、この世にあるものを何でも経験し伝えていきたかった、というのが五木の生きざまなのでしょう。そして読者はここに書かれている五木の姿を、自分の求める作家の活動や作品に置き換えて、対比しながら作家たるもののしごとを理解していく、という本と言えそうです。自分自身の仕事ぶりを晒すことで、作家の日常をイメージできるようにする。五木の狙いはそこにあるのでしょう。

五木寛之の優しい目線を感じることがあります。よく知られた作家で、あえてルビをふる必要もないような人やほんの少し戸惑うような言葉に、実にタイミングよく読み方が記されています。驕らず、どんな読者にも寄り添いたいと思う気持ちがそうさせたのではないでしょうか。   (K)

東京堂出版 ☎03・3233・3741
この記事の中でご紹介した本
作家のおしごと/東京堂出版
作家のおしごと
著 者:五木 寛之
出版社:東京堂出版
以下のオンライン書店でご購入できます
「作家のおしごと」出版社のホームページはこちら
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