『KGBスパイ式記憶術』 デニス・ブーキン/カミール・グーリーイェヴ著|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年3月19日 / 新聞掲載日:2019年3月15日(第3281号)

『KGBスパイ式記憶術』 デニス・ブーキン/カミール・グーリーイェヴ著

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「KGBスパイ式記憶術」という書名は、なにやら記憶力を高めるための実用書っぽく思われるが、原題は「SPY SCHOOL」となっているからスパイの訓練はどういうふうに行われるのか、というテーマが主流と考えた方がいいのかもしれない。となると、スパイ小説大好き読者にとってはたまらない読み物といえそうだし、「007」シリーズ大好きの映画ファンにもぜひこの本はお勧めしたい。

事実、この本の構成はKGB(ソ連邦国家保安委員会)にリクルートされた若者が、スパイに育てられていく過程がストーリーを追って語られていき、折々の節目では記憶術を訓練するための方法が紹介され、読者はこの本を読みながら自身の記憶術が伸長しているかどうかをクイズで確かめるという3つの柱から成り立っている。スパイ小説を読むとドキドキするアクションがあったり、政治の裏側が語られたりと道具立ては多彩であるが、スパイに最も要求される能力は「記憶力」だ、という観点からKGBの訓練が細かく紹介されているのは面白い。

前述の若者がスパイとして育て上げられていく過程だけを読んでも十分に楽しめるのだが、しばらくするとそのストーリーに埋め込まれてあるいくつかの事柄について、記憶しているのか? ということを確かめられるクイズが出てくるので、細かく神経を働かせながら読んでいかなくてはならないという楽しみもこの本にはある。

いまの日本では75歳を超えて車の運転に適性があるか、という検査が行われているので、高齢者たちの話題はその検査を通過できるかということが、若干の不安を持って語られることが多い。検査では日常見かける動物や生活用品がイラストで示され、数分後にその記憶がどれほど正しく残っているかが確認されるという。点数が示され、ある点数以下になるとさりげなく病院行きを進められたり、免許証の返納を暗示されたりと戦々恐々のお年寄りが多いそうである。こんなお年寄りが本書を読み込んで、記憶力バッチリ!になってこの検査に臨んでいる風景などを想像すると、ちょっと微笑ましくなるのだが。(岡本麻左子訳)
この記事の中でご紹介した本
KGBスパイ式記憶術 /水王舎
KGBスパイ式記憶術
著 者:デニス・ブーキン
出版社:水王舎
以下のオンライン書店でご購入できます
「KGBスパイ式記憶術 」出版社のホームページはこちら
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