第77回 光文三賞 贈呈式開催|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年3月29日 / 新聞掲載日:2019年3月29日(第3283号)

第77回 光文三賞 贈呈式開催

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左より、平田オリザ氏、権田萬治氏、綾辻行人氏、辻寛之氏


三月二二日、第二二回光文三賞の贈呈式が開催された。今年度の受賞者は、日本ミステリー文学大賞に綾辻行人氏、日本ミステリー文学大賞特別賞に権田萬治氏、『インソムニア』(「エンドレス・スリープ」改題)で日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した辻寛之氏、「日本文学盛衰史」(高橋源一郎原作)で鶴屋南北戯曲賞を受賞した平田オリザ氏。

受賞者の挨拶で綾辻氏は、「デビューして三〇年。受賞は夢にも思わずどんなミステリーの意外な解決よりも驚いたくらい、びっくりして嬉しくてこれまでの受賞者の顔ぶれを見るにつけ、自分がここに並んでいいのかというとまどいが大きかった。子どもの頃に江戸川乱歩さんの小説を読んで虜になり、自分でも書き始めて将来は推理小説作家になりたいと思っていた。その当時推理作家はこの世の中で一番すごい人たちだと思っていて、中学一年生のときに尊敬する人間は誰かと訊かれて、迷いなくエラリー・クイーンと答えていたような少年だった。もう少し「新本格の旗手的」なことを言おうかとも思ったが、ここではたくさんの方に感謝したい」として、江戸川乱歩氏、横溝正史氏、高木彬光氏、鮎川哲也氏など諸先輩方をはじめ、綾辻行人の名の命名者である島田荘司氏などたくさんの作家や編集者、同じく作家で妻の小野不由美氏などの名前を挙げて感謝を述べ、「願わくはこういうご時勢であるだけに知性的なものを書きたい。知性的でありつつも悪趣味で、不道徳で、不謹慎なものを書いていきたいと思う」と締めくくった。

特別賞の権田氏は、「私は一九六〇年に「感傷の効用 レイモンド・チャンドラー論」で「宝石評論賞」の佳作に入選して、二四歳のときにミステリー評論の仕事を始めた。以来、来年で六〇年の長い間、現代ミステリーの非常に優秀な作家たちと共に昭和と平成の二つの時代を幸運にも経験し推理小説界を歩んできた。今回亡くなった方しか受賞出来ないと思っていた特別賞を生きている間にいただけて大変嬉しかった(笑)」と述べ、「ミステリー評論という仕事は現代ではなかなか大変になっていて、評論といっても紹介的書評というのが主流になっている。出版不況のせいか文庫の解説や雑誌も減って、そういう中で若い優秀な評論家の人たちが大変苦労していて、新人賞の予選委員で応募作の下読みをするというのが経済的な面でも支えになっている状況である。会場のみなさまにはこれからの世代の方たちに是非いろいろなチャンスを与えていただきたい。新しい世代のミステリー評論家の方々が活躍される場が広がるように期待している」と語った。

新人賞の辻氏は、「「受賞の言葉」にも書いたが、過去の古典には現代に通じる普遍性があると思っていて、今回の作品は芥川龍之介の「藪の中」を手本に作り上げた。朱川湊人先生のエッセイ「真ん中でブン投げろっ!」を拝読し、今回の作品では中盤でぞわぞわするような仕掛けをしたので未読の方には是非注目いただきたい。選考委員の挨拶で篠田節子先生には作者以上に作品の解説をいただくと同時に、次の作品へのハードル、プレッシャーも上がった(笑)。見透かされている通り、不器用で稚拙だが精一杯頑張っていきたい」と、感謝を交え喜びをあらわした。

戯曲賞の平田氏は、「まず何よりも素晴らしい原作を提供していただいた高橋源一郎さんに感謝したい。二〇世紀末の純文学を代表する作品を演劇に舞台化することで若い読者にもう一度読んでいただけたことも誇りとするところ」と述べ、「演劇は一人では出来ない。劇団員、特に出演した俳優、支えてくれたスタッフ、バックアップしてくれた劇団に大変感謝している」として、「私は一昨年、五五歳で初めて父親になり、今回の作品は父親になって初めての作品になる。子どもが出来て丸くなったと言われないように思いきってとんがった作風にしたが、でもそこが評価されたとしたら妻と子どもに感謝したい。二年後には大学の学長(二一年四月開学予定の兵庫県立専門職大学)になるが、学長になって丸くなったと言われないように、もっともっと不謹慎な、もっともっと世の中を馬鹿にした作品をこれからも書いていきたい」と締めくくった。
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