高田馬場アンダーグラウンド 書評|本橋 信宏(駒草出版)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年3月30日 / 新聞掲載日:2019年3月29日(第3283号)

高田馬場アンダーグラウンド 書評
高田馬場アンダーグラウンド 本橋 信宏 著

高田馬場アンダーグラウンド
著 者:本橋 信宏
出版社:駒草出版
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これまで鶯谷・渋谷円山町・上野・新橋といった街の歴史を振り返りつつ、そこに生きる人たちの姿を、見事な筆致で描き切った本橋信宏が〈わが街・高田馬場〉について書き下ろすというのならば、何を置いても読まねばならない。

冒頭は次の一文ではじまる。「高田馬場には青春の屍が埋まっている」。毎年四月になると、多くの若者が全国各地から、この街に押し寄せる。大学や専門学校、予備校に入学するために。逆に住人らが街を去っていく季節でもある。そうした若者たちの悲喜こもごもが、高田馬場という街には渦巻いている。著者・本橋も一八歳の夏初めて訪れ、以来四〇年以上の日々を過ごしてきた。

まずは、第三章「『神田川』はいかにしてフォークの聖地となりしか」を、興味深く読んだ。名曲『神田川』が、作詞家・喜多條忠の実体験をもとにして作られたことは、よく知られているが、誕生にまつわる秘話を詳細に綴る。詩は数時間で書き上げられ、曲に至っては「五分間」で、南こうせつが作ったという。それが一五〇万枚の大ヒットを記録する。第五章「野心ある若者たちはヘアバレーを目指した」、第六章「性と死が織りなす街」、第七章「伝説の風俗店」は、著者の本領が発揮された三章であり、本書の約三分の一にあたる。伝説の雑誌『スクランブル』創刊と村西とおるとの出会い、ブルセラブームのきっかけとなったショップを裏側で支えていた男たちのドラマ等々、集大成的な本として読むこともできる。

振り返ってみると、本橋の著作に初めて触れたのは『裏本時代』だった。当時から、対象に向かう目線の確かさとやさしさ、ユーモアがあった。本書にも次のような一文がある。「パチンコ店に朝一番でやってくるのは、パチンコで飯を食っているパチプロだ。彼らの特徴は影を感じながら、どこか利発な動きを感じさせる。日々改良されるパチンコ台を研究するのが必須とあって、不勉強では食っていけないのだ」。

一章と十章では、父親との関係について語られる。昭和を揺るがせた一大事件に、果たして本橋の父は関わっていたのだろうか……人に歴史ありである。(四六判・336頁・1500円・駒草出版)    (A)
この記事の中でご紹介した本
高田馬場アンダーグラウンド/駒草出版
高田馬場アンダーグラウンド
著 者:本橋 信宏
出版社:駒草出版
以下のオンライン書店でご購入できます
「高田馬場アンダーグラウンド」出版社のホームページはこちら
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