事典 古代の祭祀と年中行事 / 6711(吉川弘文館)令和の大嘗祭に向けて 古代の祭りを読み解く|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年4月6日 / 新聞掲載日:2019年4月5日(第3284号)

令和の大嘗祭に向けて 古代の祭りを読み解く

事典 古代の祭祀と年中行事
著 者:岡田 荘司
出版社:吉川弘文館
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皇居の奥深くで、国民のために安寧を祈られる天皇陛下。元旦の四方拝から大晦日の大祓・御贖まで、年間約二十の祭祀がつづけられている。
最近の、ある新聞の世論調査によると、新しい天皇に期待することは、国際親善の外国訪問、災害地などの慰問につづいて、国の安寧を祈る宮中祭祀が三十%にのぼった。しかし、宮中祭祀の様子はあまり知られていない。古代より天皇によって行われてきた神々への祭祀の実態とそのはじまりを、わかりやすく論じたのが『事典 古代の祭祀と年中行事』である。
本書では古代を中心に、天皇と国家の神祇祭祀の恒例・臨時と、神仏共存時代における仏教法会六十項目を選んで解説した。現在まで、宮中と神社でつづけられてきた二月の祈年祭、十一月の新嘗祭など、農耕の予祝と感謝の祭りは、日本列島の祭りの意義が深く刻まれており、儀式次第の復元も含めて詳細に記したほか、中世以降、廃絶していった祭祀についても項目を立てた。また、伊勢神宮の式年遷宮、京都の祭礼である賀茂祭・祇園祭など、歴史的に公的祭祀として著名な諸祭祀に及ぶ。冒頭には総論として、古代から近現代へいたる祭祀の本質と変遷をたどることで、日本人の信仰の実際を読み解くことにつとめている。神道の祭祀、仏教の法会を理解する基礎的事典である。

祭祀の全体像を理解すると、そこから天皇祭祀である新嘗祭、そして天皇祭祀の最高峰に位置づけられてきた大嘗祭が浮かび上がってくる。この代替わりに行われる大嘗祭を取り上げたのが『大嘗祭と古代の祭祀』である。七世紀後半からはじまる天皇一代一度の大嘗祭は、中世の戦乱によって中断したこともあったが、近世に再興され、現在にいたっている。
本書に記した大嘗祭の論議では、昭和の時代は祭祀の中心となる神殿内の神座の用途をめぐって秘儀説があった。三十年前の平成の大嘗祭をへて、拙論である中央の神座は神迎えの「見立て」の座であるとする見解が一応の了解をえることができた。著書では、「平成大嘗祭論争」の核心論考を再録するとともに、ことし十一月に予定されている令和の大嘗祭に向けて、古代の祭祀・祭式をたどることで、新たな見解を読み込んでいる。それは、新嘗祭と同じく、秋の収穫を感謝するとともに、山や川の自然が鎮まるようにと祈念するもので、日本列島に生きる人々の願いが込められている。稲の祭りであることは当然であるが、災害・飢饉対応の粟の祭りが「秘事」として付随してきたことは注目される。
神祭りは全国各地でも盛んに行われ、無形文化遺産に指定されている屋台・山車は大嘗祭に曳き回される「標の山」と呼ぶ山車に源流が求められる。天皇祭祀は人々の地域の祭りと連携して現代に受け継がれている。
この記事の中でご紹介した本
事典 古代の祭祀と年中行事/吉川弘文館
事典 古代の祭祀と年中行事
著 者:岡田 荘司
出版社:吉川弘文館
以下のオンライン書店でご購入できます
大嘗祭と古代の祭祀/吉川弘文館
大嘗祭と古代の祭祀
著 者:岡田 荘司
出版社:吉川弘文館
以下のオンライン書店でご購入できます
「大嘗祭と古代の祭祀」出版社のホームページはこちら
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