【横尾 忠則】アッそうだ父の命日だった。父に代ってアンパン食べて糖分を父の魂に。|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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日常の向こう側ぼくの内側
更新日:2019年4月23日 / 新聞掲載日:2019年4月19日(第3286号)

アッそうだ父の命日だった。父に代ってアンパン食べて糖分を父の魂に。

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2019.4.8
 絵の調子がいいので、早くアトリエに行って一気呵成に完成させてしまうのもいいが、逆にチビリチビリ美味しいお菓子を食べるように仕上げるのもいい。

NHK大河ドラマ「いだてん」のプロデューサーの岡本さんが大いに気にいっていた第三弾のポスターに、どこからかケチがついたらしく相談に。デザイナー時代を思いだして、こんなことにいちいち対応していると寿命に影響する。エライ人というのは何か一言いいたいのが仕事で他に根拠などあろうはずがない。

就寝時間にふと「今日は何日だっけ?」と用もないのに日が気になる。4月8日はお釈迦さまの誕生日だ。アッそうだ父の命日だった。こんな時間に父の好物のボタ餅はない。父に代ってアンパンを食べて糖分を父の魂に送る。

この間から気になっているギルガメシュを調べていくとデニケン的には宇宙人になるらしい。
2019.4.9
 〈青イ海ニ囲マレタ孤島ヲ上空カラ俯瞰デ眺メテイル。島ヲグルリト取リ囲ンダ白イ砂浜ノ波打際ノ波ガ微カニ動イテイル。濃イ緑ノジヤングルノ真只中ノ地面ハオレンジ色デ伐採サレタ地面ニハ4・3・18トイウ数字ガ書カレテイル。ドーヤラコノ島ハボクノ所有地ラシイ〉。

平野啓一郎さんと「T・ The New York Times Style Magazine:Japan」で『カルティエ そこに集いし者』の書評対談を。彼との対談数は5、6回以上あるのでは。
2019.4.10
 高倉健さんの養女小田貴月さんから『荒野の渡世人』(1968年)の京都撮影所で健さんとのお互いに若い頃のツーショット写真を送ってこられる。

西脇市岡之山美術館の新館長笹倉邦好さんと副館長の山崎均さんが就任挨拶に来訪。

寒い夜だけれど朝日新聞の書評委員会に出席。七人の初めての顔が並ぶが名前も職業も記憶できない。知人は委員を2年間空白だったいとうせいこうさんだけ。
「デビッド・フロスト・ショー」ジョン・レノンとプラスティック・オノ・バンドにパフォーマンサーとして参加した横尾
2019.4.11
 3点目の作品を途中で中断しており、その続きをと思ったがこのままじゃカオスから抜けられない。当初の発想に異議申し立てをして行き先を変更するしかない。こういう時に試されるのが破壊的な勇気だ。創造は常に危険と紙一重に立たされている。一線が越せるかどうかが画家の運命を決定する。

イースト・プレスの堅田さんが1970年にニューヨークのブロードウェイのテレビスタジオで録音して、翌年の元旦に放映された「デビッド・フロストショー」にジョン・レノン、オノ・ヨーコの「プラスティック・オノ・バンド」で特別ゲストで出演し、ステージから紙飛行機を飛ばすパフォーマンスでコラボしたビデオフィルムを発見したといって送ってくれる。これはYouTubeで観れるはずだ。この時もそーだが、アメリカのメディアでぼくを紹介する時は判を押したように「日本のアンディ・ウォーホル」にされちゃう。以前そのことを三島さんに話したら、「俺だってアメリカではトルーマン・カポーティやテネシー・ウィリアムズ、イギリスではオスカー・ワイルド、フランスではジャン・コクトーだよ」と言って恥ずかしがっちゃダメと言われたことがあった。
2019.4.12
 〈プラネタリウム内デ宇宙ノ疑似体験〉の夢。70年代はUFOに搭乗して地球外惑星に案内されたドリームコンタクトと称する夢をよく見せられたもんだ。夢はどうせ夢なんだから、奇想天外なスペクタクルな非現実的夢でなきゃ価値がない。

クロムハーツが日本でオープンして20年の記念として2作目のシルクスクリーンのポスターの依頼を受ける。現在は日本で11店舗、世界で29店舗を持つバイカーのエルメスと世界の人気ブランド。商品は手が届かない高価なものだから社長のリチャードと絵と交換したもんだ。

NHKの「いだてん」のポスターはやっぱり変更を要求してくる。ハイ、ハイお望み通りのものに致しましょうと言って、間もなくした頃、「いだてん」の1頁広告が読売広告大賞の準グランプリ受賞(スポンサーが貰う賞)が決まったというニュースで、態度一変、権威は権威に弱いらしい。
2019.4.13
 ギルガメシュの夢以来、ギルガメシュは夢で予知する能力があるだけあって、次々とギルガメシュがらみのインスピレーションが意識に接触する。梅原猛さんも「ギルガメシュ」を市川猿之助(現・猿翁)さんとスーパー歌舞伎でコラボの計画があったとか。

東京新聞の瀬戸内さんの連載「縁の行方、今」が長い間中断していたが萩原健一さんの死についてエッセイを書かれることになり、その肖像画の依頼を受ける。他に梅原猛さん、ドナルド・キーンさん、流政之さんら瀬戸内さんの親しかった人達のことも書いて欲しい。

四月も半ばなのにまだ寒い。桜も汚れて、灰をかぶったようだ。
2019.4.14
 〈エツセイヲ書クガ、何度モ何度モ文字ヲ同ジ個所ニ刷リ込ンデ、真黒ナ造形物ニシテシマウ〉。可読性0なので、これは造形作品と言うべきだろう。

今日も一向にキャンバスの前に立てない。どうでもいい、面倒臭い。そんな感覚にはどこか諦観がある。諦観は悟りに似て、いいもんだ。
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