田原総一朗の取材ノート「「パリ協定」日本の長期戦略案」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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田原総一朗の取材ノート
更新日:2019年4月30日 / 新聞掲載日:2019年5月3日(第3287号)

「パリ協定」日本の長期戦略案

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非常に問題とされるべき事実が明らかになった。

政府が、地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」に基づき、国連に提出する長期戦略案が一九日にわかった、と朝日新聞が報じた。それによれば、政府は「原発」について、「実用段階にある脱炭素化の選択肢」として、安全性・経済性・機動性に優れた炉を追求するとの目標を掲げた。
原発は必要だというのである。

だが、現実的に原発新設の可能性はゼロだと、私は捉えている。

自民党の幹部たち一〇人近くに、私は、原発新設について直接確かめたが、新設が可能だと考えている幹部は一人もいなかった。

さらに使用済み核燃料を再生して新たな燃料として使うはずだった、高速炉「もんじゅ」は失敗して、総括もされないまま、廃炉となった。

具体的には、日本には、原発の将来展望はないわけだ。

それでいて、二〇一八年七月の政府のエネルギー計画では、何と二〇三〇年に、原発が約三〇機稼働していることになっている。
ということは、いまある原発が全て再稼働しても、一〇機くらいは新設しなければならないことになる。

ところが、くり返し記すが、私が確かめたかぎりでは、新設が可能だと考えている自民党幹部は一人もいないのである。

これは、一体どういうことなのか。

実は、小泉純一郎元首相は、首相時代は原発推進であった。ところが、二〇一三年に、フィンランドのオンカロを見学して考え方が一転したのである。

オンカロは、安定している地盤を約五〇〇メートル掘って穴をつくり、そこに使用済み核燃料を安置することになっているのだ。ただし、フィンランドは、まだオンカロを実際には使っていない。

ところで、小泉氏は、オンカロに使用済み核燃料を持ち込んで、無害化できるのに、何年かかるか、と問い、一〇万年という返事だったので、原発反対になったのである。

しかし、日本には、そのオンカロもなく、つくる見込みもないのである。政府は無責任だと思わざるを得なくなる。(たはら・そういちろう=ドキュメンタリー作家)
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