【横尾 忠則】ネットで猛烈な反響。書評の執筆主は僕?夢?|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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日常の向こう側ぼくの内側
更新日:2019年5月14日 / 新聞掲載日:2019年5月10日(第3288号)

ネットで猛烈な反響。書評の執筆主は僕?夢?

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2019.4.22
 〈木村恒久サンノ新作ポスターガ面白イノデ『面白イ!』ト電話スルガ、早口デ声ガコモツテイテサツパリ聞キトレナイノデ電話ヲ切ル口実ニ、『今何歳?』ト聞ク。89歳ダソーダ〉ちょっと待てよ、木村さんは11年前に亡くなっているから、彼は昔の人だから数えでいえば今年91歳。満でいえば89歳で夢で言った年齢は合っているじゃない。これはどういうこと? 夢と現実の時間はネジレていないじゃん。死者の木村さんは現実時間を認識していることになる。それにしても夢の中でもぼくは難聴なんだ。
2019.4.23
 〈郷里ノ通リヲイテイル。ドノ家ノ軒下ニモ牛乳瓶ガ置イテアル。1本拝借。別ノ家ノ前ニモアル。ココデ2本目ヲ飲ム。次ノ日モ同ジコトヲ繰リ返ス〉目が覚めて気づくが、ぼくのやってることは、かなり認知症的行為? いや、そーじゃなくて最近牛乳を飲んでいないことの肉体の要求夢ではないのか、と判断して今朝は早速飲む。
2019.4.24
 〈コンサートノステージデ指揮者ノ真似ヲシナガラ手ヲ振リ廻スト、手ノ先カラ白イ煙ガモーモート出ル。ドーヤラ生体エネルギーラシイ。観客ハ魔術師ノヨーニナツタボクヲ見テ驚イテイルガ、結局ボクハ失格者トシテ降板サセラレル〉

〈昔ハ満天ノ中ノ強イ光ヲ放ツ2ツノ星ノ1ツガボクノ星ダツタガ、1ツ消エテボクノ星ダケガ残ツタガ、ヤガテソレモ消エテ、満天ノ星ノ1ツニ吸収サレタ〉
2019.4.25
 『婦人画報』でYMOのメンバーからなぜ会見直前に離脱したのかというインタビュー。

暗闇の中を手さぐりで歩いているような制作が続いている。無計画で取りかかるぼくのスタイルは常に煉獄地獄。

疲れ激しく、夕食はうなぎ。
2019.4.26
 神戸の次々回展は作家自らがキュレーションする自画自賛展だが、タイトルを真逆の「自我自損」展に変更する。自我を出し過ぎると損をするのは自分ですよと戒めの意を込めて。
2019.4.27
 今日から10日間は天皇退位、新天皇即位の大型連休。

今朝の朝日新聞の書評の三重の重ね刷りに対して、ネットは猛烈な反響。夢で見た通りの原稿を提出しただけで、この書評の執筆の主は夢なのかぼくなのか不明である。
2019.4.28
 〈スポーツカーニ乗セラレテ降リタ所ハ郷里ノ昔ノ市役所前ダガ白イ建物ニ変ツテイル。丘ノ上カラ、見事ナアリアノ歌ガ聴コエル。白イ螺旋階段ヲ上ルト、ソコハ外国? 豪華ナ白亜館カラ女性ノオペラ歌手ガアリアヲ歌イナガラ、階段ヲ降リテクル。建物ヲ囲ム森ハ遠クマデ続イテオリ、マルデデイズニーノ音楽映画ノ中ニ誘ワレタヨーナ気分ダ〉

絵というのはどこかでヤケクソになって破壊行為を起こして、トンデモない所に向かわなければならない。絵とは常に本気でケンカをしなければ親友になれない。
朝日新聞4月27日書評『美術は魂に語りかける』

2019.4.29
 朝日新聞の書評編集長の吉村千影さんから反響の大きさを反映したFAX。記事へ
2019.4.30
 今日が平成31年だったことを初めて認識。
〈停電ニナツテ、狭イ部屋ノ中デ突然戦争ガ始ツタ。机ノ隅カラ見エナイ敵ニ銃デ発砲。ヤガテ戦争ガ終ツテ電気ガツイタ。机ノ影カラ外国人ガゴソゴソ出テクル。敵味方交ジエテ安堵。敵ノ中ニジヤスパー・ジヨーンズモイテ、互イノ無事ヲ喜ブ。全員ガ美術関係者デ、友人ノアラン・プールトデイナーノ約束ヲスル〉
〈モウ転生ハシタクナイノニ、来世ハ馬トノ大ロマン人生ダト誰カガ言ウ〉
〈郷里ノ銭湯ノ湯舟ノ中デ尿失禁ヲスル。ソコへ田舎ノマツチヨガ20人位入ツテクル。知ランプリヲシテ湯舟カラ出ル〉

平成最後の日に、二重橋の絵を描く。たまたまそーなっただけの話だ。何の意図もない。

平成最後の夕食をして平成最後の風呂に入って、平成最後の爪を切る。
2019.5.1
 令和最初の一日。大ざっぱに5点目完成。
2019.5.2
 〈東京郊外ノデパート内デ、支配人ノ女性ガボクガ落トシタ使用済ミノテイツシユヲ2度モ拾ツテ持ツテキテ、何カアリマシタラ、イツデモゴ相談下サイト言ワレル〉
2019.5.3
 眠れず。歳を取るとDNAがそうなっているそーだ。何もしないで次作のアイデアを練るだけ。
2019.5.4
 〈アロハシヤツヲ着タ灘本唯人サンガインドネシアデ現地ノ女性ト住ンデイルヨーダ。灘本サンノアロハノ袖ガ何故カ気ニナル〉木村さんにしても灘本さんにしてもデザイナー時代のすでに死んでいる先輩が夢に現われる。

久し振りに旧山田邸で100円のコーヒー2杯飲んで、『ユリイカ』のショーケンについてのエッセイ10枚書く。

この長い休日は深海の底に沈んだままの気分で、半分死んでいる。
2019.5.5
 メディアでは連日、令和ムードをかき立てて新天皇の即位の報道がまだ続きそうだが、ぼくの日常は何の変哲もない長い連休が一日という感じだ。日常的な記述は少なく、夢が現実にとって代ってなぐさめてくれている。

昨日までの絵を全否定して、上から別の絵を描くが、これが意外と予期せぬ絵に。

夜、2週間振りにマッサージへ。(よこお・ただのり=美術家)
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