私を研究へ導いた一冊/今こそ薦めたい英文学の一冊(2)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年5月24日 / 新聞掲載日:2019年5月24日(第3290号)

私を研究へ導いた一冊/今こそ薦めたい英文学の一冊(2)

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私を研究へ導いた一冊/今こそ薦めたい英文学の一冊

5月25・26日に安田女子大学(広島市)で開催される日本英文学会全国大会。本紙ではこれを機に英米文学特集を掲載する。研究者が今の時代だからこそ若者に薦めたい一冊、または自身を研究へと駆り立てた一冊を紹介するアンケートを行った。
目 次

第1回
新野 緑の「この一冊」
『荒涼館』(チャールズ・ディケンズ著)

チャールズ・ディケンズの『荒涼館』は、一五◯年も前の小説とは思えぬラディカルな語りに驚かされる。“London. Michaelmas term lately over”と畳みかける名詞句に始まり、一貫して現在形の三人称と、ヒロインが回顧する一人称過去形。この対照的な語りを交互に組み込んで並走するアクロバティックな語りは、現代でも類を見ない。しかも時代遅れの司法制度を揶揄する鋭い社会諷刺のプロットと、美貌のデッドロック夫人の過去の秘密を、娘のエスタ、デッドロック家の顧問弁護士、バケット警部らが追うミステリー仕立ての展開は、個性豊かな登場人物たちを次々と巻き込み、その隠された絆が暴かれていく。語りもプロットも登場人物も、脈絡なく雑多に詰め込まれたかに見えて、じつは意味の生成と転覆、解体が繰り返される、小説を読む行為の隠喩でもある物語。ディケンズ特有の混沌とした豊饒さと現代性を満喫できる代表作、ぜひ一読を勧めたい。
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