第三十二回 三島由紀夫賞・山本周五郎賞|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年5月31日 / 新聞掲載日:2019年5月31日(第3291号)

第三十二回 三島由紀夫賞・山本周五郎賞

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五月十五日、東京都内で第三十二回三島由紀夫賞と山本周五郎賞の選考会が行われ、三島賞は三国美千子氏の『いかれころ』(新潮社より六月刊)に、山本賞は朝倉かすみ氏の『平場の月』(光文社)に授賞が決定した。
三国美千子氏
先に授賞が決まったのは三島賞で、選考委員の町田康氏が選考経過を報告した。

「五作の候補作の中で、最初の投票から『いかれころ』が多くの選考委員の票を集め、ほぼ万票に近い形で授賞作となった。一回の投票でだいたい決まった感じで、評価もダントツに飛びぬけて高かった。

小説の語り手は、子供でありながら、同時に現在の大人の視点でも語っている。二つの立場から一つの現実を捉えているところが非常に巧みで、小説世界が立体的に浮かび上がってくる作品。また、病的なものを抱えている田舎の暮らしや、家というものを非常に上手く描写している。とてもいい作品を選ぶことができたと思う」。

続いて、山本賞の選考委員である石田衣良氏は、次のように語った。
「今回の選考会はそれほど長くはかからず、わりとすんなり決まった。『平場の月』は、恋愛小説といっても、主人公が五十歳を過ぎた男女。楽しいだけではない、切なさもある、でも心躍るようなこともある。そういうところが、独特の口語体でしっとりと描かれている。ほぼ満場一致に近い形でした」。

大阪在住の三国氏は、電話を通して、「遠いところから失礼します」と挨拶した上で、受賞の喜びを述べた。

「とても思い入れの深い特別な作品であり、書くのに四十年近くかかってしまいました。それぐらい、思い切りが必要な作品でした。

三島由紀夫の名前を冠した賞を獲るなんて、ちょっと考えられない、不思議な夢を見ているような気持ちです。今後は、異質な価値観を持つ他者が、同時に混在しながら生きている、そんな世界を描ける作家を目指していきたいと思っています」。

最後に登壇した朝倉氏の言葉は以下の通り。
朝倉かすみ氏
「とても幸せな気分です、ありがとうございます。今回は、なるべく普通の人たちの生きる姿を描きたかった。自分自身の年齢を考え、この先何作書けるんだろうと思う中で、社会的に弱い立場にいる人たちを書いていきたいと思うようになりました。

受賞できて、本当に良かった。良かったという言葉以外、本当に思いつかないくらい良かった。幸せだなと思います」。

なお、次回(第三十三回)から、三島賞の選考委員には、川上未映子氏、高橋源一郎氏、多和田葉子氏、中村文則氏、松家仁之氏が、山本賞には伊坂幸太郎氏、江國香織氏、萩原浩氏(留任)、今野敏氏、三浦しをん氏が、それぞれ就任する。
この記事の中でご紹介した本
平場の月/光文社
平場の月
著 者:朝倉 かすみ
出版社:光文社
以下のオンライン書店でご購入できます
いかれころ/新潮社
いかれころ
著 者:三国 美千子
出版社:新潮社
以下のオンライン書店でご購入できます
「いかれころ」出版社のホームページはこちら
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