小林秀雄インタビュー 芸術 人間 政治 ――小林秀雄氏との一時間 『週刊読書人』1958(昭和33)年10月27日号 1面掲載|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年6月2日 / 新聞掲載日:-0001年11月30日(第247号)

小林秀雄インタビュー
芸術 人間 政治 ――小林秀雄氏との一時間
『週刊読書人』1958(昭和33)年10月27日号 1面掲載

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小林 秀雄氏
1958年10月27日号より
昭和33年秋の読書週間、本紙では文芸評論家・小林秀雄にインタビューを行い特集を組んだ。稀代の読書名人小林秀雄が若者に進める本とは。書評に求めるものとは。「本を読む」ことについて大いに語った。(2019年編集部)
第1回
若い頃、読書の習慣を ――ランボーと直哉に感動する

編集部 
 学生時代に、最初に感動して読まれた本は……
小林 
 若いころに非常に感動した本を一つ挙げろといわれれば、ランボーですよ。僕は何にも知らないで、神田の白水社にあったから、フランス語のをただ買って。高等学校の三年生の時だったかな。だから、わかって感動したのではなかった。わかったことはわかったけど、ああいうむずかしいものですからね。随分、だれに聞いてもわからなかったり、いろいろ自分で考えてみたり……。それほどよく読んだんです。僕は、それで卒業論文にランボーを書いたんです。大学に入ってすぐ書いたのかな。
編集部 
 日本の作家の場合、どなたに最初?
小林 
 僕はやっぱりそれは志賀さんです。中学の終りごろからじゃないかな。そのころはやっぱり、志賀さんのものが一番僕は感動して読んだな。
編集部 
 本の読み方といいますか、それはどういうふうな……。技術的な意味でも、いろんな意味でもですけど。
小林 
 僕は雑読、乱読ですよ。だから高等学校時代は、僕は文学の本に限らなかったな。実にいろんな本がおもしろくて、まあ知識欲かな。文学というようなおもしろさをどうというよりも、とにかく何でも知りたかったからね。しかし、本って読めないものですね。僕なんか随分好きでもって読んだほうだけどね。だから、やっぱり若くして死んだ人はそう読んでないね。結局そう思うね。露伴さんみたいに長生きしてしょっちゅう本を読んでいれば随分読めると思うけど、芥川さんなんか随分本を読んだとみんないうけど、若く死んじゃ、そんなに僕は読んでやしないと思うね。不可能だもの。
編集部 
 先生のころは、案内的ダイジェスト的なもの、週刊誌、新聞というのはどうでした?
小林 
 僕らの場合は、雑誌新聞というのはそんなに勢力を持っていなかったね。そういうものから、僕らの学生時代はほとんど影響を受けてないよ。つまりそういうものを本当に侮蔑していたもの。侮蔑していても結構やって行ける御時勢だったね。だから僕ら、たとえば本というものは、新聞雑誌とは違うものだと思っていたよ。そっちのほうに本当の知識があって、読まなければならないんだと、こういうふうに、何かしらんがそういうふうに思わせられていたよ。だから新聞を読む暇に本を読んだよ。もちろん雑誌なんか読みやしない。文芸時評を「文芸春秋」にはじめてたのまれた時、日本の雑誌は一つも読んでいなかったよ。二十七、八のころかな。
編集部 
 このごろテレビがだいぶ普及して来て、相当普及力を持っているわけですが……。
小林 
 テレビは、僕の見るのはすもうと野球ですね。僕は運動が好きですからね。ゴルフも見ますね、テレビ。おもしろいですね。
編集部 
 そういうものによって読書というものがどういう影響を受けるかということなんですかね。
小林 
 読書というのは、今の人の読書も、僕はそう変っていないんじゃないかと思うけどね。よくわからないけど。やっぱり読書というのは習慣なんでね。あれはやっぱり習慣を、まず若いころにつけなかった人は、一生、本というものと縁がうすくなるんじゃないの。
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