齅|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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漢字点心 第190回
更新日:2016年7月15日 / 新聞掲載日:2016年7月15日(第3148号)

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齅
「匂いをかぐ」のように使う「かぐ」は、漢字で表すならば「嗅ぐ」と書く。だが、「口」で「かぐ」ことはできないのに部首「口へん」が付いているのは、よく考えてみれば妙である。

その落ち着かなさを解消してくれるのが、「齅」。文字どおり、鼻を使って匂いを「かぐ」ことを表す漢字で、音読みでも、「嗅」と同じく「キュウ」と読む。現在、一般的に用いられている「嗅」は、「齅」の画数があまりにも多いところから、略字のような意味合いで生まれてきたのだろう。


ところで、幕末から維新にかけての文人、成島柳北に、『航西日乗』という日記がある。明治になってからパリに出かけた際の記録だが、それを読んでいたら、タバコ工場を見学中、かぎタバコが大量に積んであるのを見つける場面で、この漢字が出て来た。こんなにむずかしい漢字がすらすらと書けるなんて、さすが、儒学者として幕府に仕えただけのことはある。その教養に、改めて畏れ入った次第だった。
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